寄稿講師同行ツアー「風来人」新シリーズ
「知られざる武家の古都・鎌倉の旅」と「鎌倉お気軽たび」
講師・大竹正芳)


◆戦国廃城番外編ー古都鎌倉の魅力に迫る


 7年間ご好評につき続いています「戦国廃城を歩く」の番外編として首都圏人気の観光スポット・鎌倉を訪ねる新しいシリーズが始まりました。鎌倉を巡るツアーはあまたありますが、地元で生まれ育った講師ならではの、人に知られていない鎌倉の一面を訪ね歩きます。観光地の魅力だけでなく歴史都市、文化都市として今も息づく武家の古都鎌倉の魅力に迫ります。
 

◆第1回「一条恵観山荘と浄明寺周辺の史跡を巡る旅」

 その第一回目として2019年3月3日(日曜日)に「一条恵観山荘と浄明寺周辺の史跡を巡る旅」を催行いたしました。当日はあいにくの肌寒い雨空でしたが、かえって街中の観光客が少なく、新緑も映えて良い観光日和となりました。
 今回は、公益財団法人鎌倉市観光協会のおすすめの一条恵観山荘とその周辺の古寺や史跡を観て歩きました。一条恵観山荘は江戸時代の初め、後陽成天皇の息子の一条恵観が京都西賀茂に建てた別荘を宗偏流茶道の家元が鎌倉の屋敷地に移築したものです。その後、管理団体が出来て一般公開されるようになって、まだ3年ほどしかたっていません。ここでは建物だけでなく庭石も含めて移されており、京都の別荘を忠実に再現されています。国の重要文化財に指定されていて桂離宮や修学院離宮に通じる江戸時代建築の傑作のひとつと言えます。
  
 まずバスで大塔宮まで行き、瑞泉寺山門脇の高台にある中華精進料理「凛林」で昼食をとりました。鎌倉の古民家を改造した店構えで美味しくて高級感もあり、人気の高いお店です。
 
図1
 中華精進料理「凛林」

 
図2
凛林の庭
 
       
図3
 
 食事が終わった後は今回のメインである一条恵観山荘に行きました。山荘では大倉流狂言師のKさんにより、とても丁寧で興味深いご案内がなされました。人数が多かったためお客様が二つのグループに分かれ、見学でないグループはその間、庭を望みながら抹茶をたしなみました。

図4
一条恵観山荘にて
 
 
図5
一条恵観山荘の庭園
 
 
図6

 身近で江戸時代の杉戸の絵が見れました。写真の絵は人形浄瑠璃の原型になった人形芝居を描いたもので、絵画的にも民俗資料としても貴重なものです。
 
 
図7
人形芝居の絵のアップ。人形の下に人形遣いが隠れる箱が描かれている。
 
 
図8
奥座敷の床の間。掛け軸は恵観の歌詠みの下書きの実筆。
 
図9
 奥座敷の様子。細かい意匠も計算されている。


 一条恵観山荘は意匠が細かいところまで考え抜いて建てられています。各部屋ごと造作が異なり、奥に行くほど格式が上がります。網代の天井や雲母を用いて行燈の光で模様が浮き出て見える襖、珍しい障子の張り方、引き戸の金具の「月・の」等、一見質素な感じを受けながらもセンスの良さがうかがわれます。また囲炉裏の熱を利用した今でいうセントラルヒーティングや食器を温める棚に見られる斬新なシステムには頭が下がります。奥の部屋では戸が開けられ庭を楽しむことが出来ます。
 鎌倉にいながら京都の雅を楽しめ、庭の借景となる鎌倉独特の迫ってくる緑の低い山並みが、京都では味わえない良さを醸し出しています。
 

 
図10
見学の最後は奥座敷から庭を愛でます。


 一条恵観山荘を観終わった後は臨済宗鎌倉五山の一つでもある浄明寺や、隣接していたといわれる室町時代の足利鎌倉公方屋敷の痕跡を訪ね、鎌倉市最古の創建といわれる杉本寺に行き、本堂奥にあるご本尊も拝観しました。じっくり楽しめた、とても良いツアーになりました。



 

◆鎌倉の調査研究を続け地元でも活躍している講師ならではの視点で、第2回「鎌倉お気軽たび」を予定しています

図11

  今年は鎌倉市制80年の年であり、元号が平成から新しく変わる年でもあります。
 新元号に代わった後の5月26日(日曜日)には第二回目として「鎌倉お気軽たび」を予定しております。お値段も3,980円とリーズナブルです。
 この回では今回素通りした鎌倉の中心部を訪ねます。皆様方はすでに行かれた場所かもしれませんが、「こんな歴史がある」あるいは「こんなところにこんなものがある」といった今まで気づかなかったようなもの、知られていないことを取り上げたいと思っています。

 この鎌倉ツアーではお城だけでなく長年鎌倉の調査研究をして地元でも活躍している講師ならではの視線で今までにない鎌倉の観光案内が出来ればと考えております。まだまだ試行錯誤の状態ですが、何卒「戦国廃城を歩く」と共にこの「知られざる鎌倉の旅」も今後とも、ごひいきにお願い申し上げます。
 
 
 ※行程等の詳細は下記URLからご確認ください。



●筆者プロフィール●
大竹 正芳(おおたけ せいほう) 日本画家・歴史研究家
<略歴>
• 1965年 伊東深水の内弟子、大竹五洋の長男として生まれる
     深水に「正芳(まさよし)」と名付けられる
• 1990年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業
• 1993年 歴史考古学者(日本城郭史学会代表)西ヶ谷恭弘氏に師事 
• 1994年 鎌倉芸術館にて個展
• 1996年 NHK「堂々日本史」にて真田丸の復原考証協力
• 1998年  銀座スルガ台画廊「五月展」
• 1999年  ギャラリー元町、ギャラリーGOKURAKU亭にて個展
• 2001年  池袋東武、上野松坂屋、水戸京成の各デパートにて個展
• 2002年  池袋東武、上野松坂屋、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2003年  池袋東武、上野松坂屋、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2004年  池袋東武、上野松坂屋、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2005年  池袋東武、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2006年  池袋東武、上野松坂屋、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2007年  池袋東武、船橋東武、上野松坂屋、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2008年  池袋東武、船橋東武、渋谷東急本店、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2009年  池袋東武、船橋東武、渋谷東急本店、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2010年  池袋東武、船橋東武、渋谷東急本店、藤沢小田急の各デパートにて個展
     江ノ島展望灯台の名称に応募した「江ノ島シ―キャンドル」が採用される
• 2011年  池袋東武、船橋東武、渋谷東急本店、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2012年  池袋東武、船橋東武、渋谷東急本店、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2013年  池袋東武、船橋東武、渋谷東急本店、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2014年  池袋東武、船橋東武、藤沢小田急の各デパートにて個展
• 2015年  船橋東武、吉祥寺東急、藤沢小田急、柴田悦子画廊にて個展
• 2016年  池袋東武、船橋東武、神戸大丸、藤沢小田急の各デパートにて個展
     上野松坂屋にて三人展
• 2017年 船橋東武、神戸大丸、藤沢小田急での個展予定

他、展覧会、歴史出版物の挿絵、共著、学術論文、講演等多数 現在、大竹五洋日本画教室、湘南アカデミア「ボタニカルアート」講師
日本城郭史学会委員、毎日新聞旅行「戦国廃城を歩く」講師




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