登山コラム《山記者小野博宣の目》
2019年8月31日/9月1日
番外編・富士登山卒業式 & 2020特報

富士登山を記念して東京・大阪で開催

 中高年の皆さんを富士山にお連れする富士登山教室・塾は2016年から始まった。同年8月11日が国民の祝日「山の日」に制定されたのを記念してのことだ。
 富士山に登りたい中高年者はたくさんいる。だが、山の初心者にはその方法が皆目見当がつかない。ましてや若者のように弾丸登山などはとてもできない。周囲からそんな声が聞こえてきた。それで「では、富士山専門の登山教室をやってみようか」と思いついた。
 同年1月の毎日新聞地方版に、机上講座の告知記事を掲載すると、かなりの申し込みをいただいた。その数は約200人にも達し、確かな需要があることを確信した。

 以来、大勢の中高年の方と富士山に登ってきたのだが、はっきりと認識したことがある。「中高年者の中には、富士山に登ることはできても体力を使い果たし、自力下山ができなくなる人が少なからずいる」ということだ。自力下山ができなければ、スタッフが下山できなくなった方のザックを担いだり、簡易ショートロープ(下りられなくなった人の腰にロープを巻いて、ロープの端をスタッフが確保する登山技術の一つ。転倒を防ぐために行う)をしたりして、何としても下りていただくことになる。ショートロープをしていた時のことだ。様子を見ていたフランス人の青年に「囚人みたいだ」と笑われたことがあった。ある年には大幅に下山が遅れた年配者がいて、大勢のお客様をバスで待たせてしまったこともあった。自力下山ができないということは、本人もつらいし周囲に迷惑をかけることになる。

 中高年者、とりわけ70代の方には体力をつけてもらうことが大切なのだ。そのために2019年度は、ステップ1からのすべての実技講座を受講していただくことが富士登山に参加する条件とした。その結果、多くの方に富士山の山頂に立っていただけたと思う。
 もちろん悪天候で登山が中止になったり、8合目から引き返しりしたパーティーもあった。その方々はぜひ捲土重来(けんどちようらい)を期してほしい。

 富士登山を記念しての「卒業式」を8月31日に大阪で、9月1日に東京で開いた。初めての試みだ。大阪は40人、東京は23人が土日にも関わらず参加してくれた。いずれの会場も実技講座の写真が掲げられ、参加者は懐かしそうに見入っていた。ステップ1から富士山までのスライドも上映され、拍手や笑い声が響いた。表彰状の授与も行い、「この年齢になって表彰されるとは思わなかった」との声も聞かれた。参加者同士が連絡先を交換し、次の山旅へ誘い合っていた。何とも和やかな卒業式となった。

 半年間の登山講習で、山の醍醐味、自然に触れることの面白さに気付いた人もいるだろう。私も「山国・日本にはまだまだたくさん素晴らしい山があります。ぜひ登ってください」とお誘いした。次は日本第2位の高峰・北岳で、富士山に勝るとも劣らない人気を誇る槍ケ岳で、八ケ岳連峰の主峰・赤岳で、卒業生の皆さんとお会いできれば望外の喜びだ。
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】

特報!「安心安全富士登山教室2020(仮称)」開講決定!

「私でも富士山に登れた」と、中高年の皆さんに大好評の富士登山教室を2020年も開催します。山岳ツアーのパイオニア・毎日新聞旅行が誇る登山ガイドらが初心者や“お久しぶり登山”の中高年の皆さんを富士山にお連れします。机上講座は東京会場(東京都千代田区)、大阪会場(大阪市北区)ともに同年2月中を予定しています。3月~7月から毎月実技講座を開き、低山から日本アルプスへステップアップします。8月には富士山を目指します。詳細な日程、参加条件は2020年1月に、毎日新聞紙上などでお知らせします。

東京・卒業式で行われた表彰状の授与(撮影・鈴木正喜氏)
東京・卒業式で行われた表彰状の授与(撮影・鈴木正喜氏)

写真で実技講座の様子を振り返った=東京会場(撮影・鈴木正喜氏)
写真で実技講座の様子を振り返った=東京会場(撮影・鈴木正喜氏)

大阪市内で行われた卒業式での表彰式(撮影・猪井将光氏)
大阪市内で行われた卒業式での表彰式(撮影・猪井将光氏)

大阪会場で、スライドを使い実技講座を振り返った(撮影・猪井将光氏)
大阪会場で、スライドを使い実技講座を振り返った(撮影・猪井将光氏)



●筆者プロフィール●
 1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長
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