あかね色に輝く切り立つ岩峰、7月の短い期間に咲く草原の花々を目指して

ドロミテといえば、彫刻のように美しい山々が大きな魅力の知る人ぞ知る絶景の地。朝夕に太陽に照らされ、あかね色に輝く切り立つ岩峰、7月の短い期間に咲く草原の花々は世界中の人々を惹きつけやまない場所で、ユネスコの世界遺産に指定されています。

成田からドバイで乗り継ぎヴェネチアへと長い飛行機の旅から解放され、車で峠を何度か越えてドロミテの中枢の山岳リゾートの街カナツェイ(1460m)に到着しました。

◆1日目 ドロミテの最高峰・氷河のある山、マルモラーダ(3343m)

ドロミテ滞在第1日目はドロミテの最高峰マルモラーダ(3343m)の北面の展望トレッキング。カナツェイからゴンドラ、ロープウェイを乗り継いでコル・デイ・ロッシ(2383m)へ。

左手にサッソルンゴとセッラ山群の雄大なパノラマが、右手にはドロミテ最高峰マルモラーダ(3342m)の迫力ある姿を見ながら、上り下りの少ない楽な道を歩いていきます。

マルモラーダ
マルモラーダ(3343m)/ドロミテの最高峰

セッラ山群の眺め

セッラ山群の眺め


マルモラーダはドロミテ唯一の氷河のある山です。そして足元には草原が広がり、花が咲き誇っています。コース終盤は水の色が美しいフェダイア湖目指して下っていきます、フェダイア湖のその遠くにはチベッタ(3320m)の迫力ある北西壁そそり立っています。

ガイドのマヌエルのおすすめのレストランでピザやビールなど思い思いに遅い昼食を楽しみました。


マルモラーダはドロミテで
マルモラーダはドロミテで唯一氷河のある山

フェダイア湖の向こうにチベッタ北西壁

フェダイア湖の向こうにチベッタ北西壁

◆2日目 ポルドイ峠~サス・ポルドイ(2,950m)~ピッツボエ(3152m)登頂

滞在第2日目はピッツボエ(3152m)登頂です。

ロープウェイの終点コル・デイ・ロッシ(2383m)からポルドイ峠(2239m)まで一時間ほどの下り道です。道のわきに咲く花々と背景の岩峰がマッチして独特の美しさです。


ポルドイ峠への斜面は一面のお花畑
ポルドイ峠への斜面は一面のお花畑

ポルドイ峠
ポルドイ峠

この峠はサイクリストの憧れの地だそうで、多くのサイクリストが来ていました。イタリアの自転車レースの偉大なチャンピオンの記念碑がたっています。峠からはゴンドラで標高差711mを一気にサス・ポルドイ(2,950m)まで登ります。サス・ポルドイはセッラ山群の頂のひとつで360度の大パノラマ。こんな絶景の場所に5分で来られてしまうとはさすがドロミテです。

まだかなりの雪が残っています
まだかなりの雪が残っています

ピッツボエの頂を目指す
ピッツボエ(3152m)の頂を目指す

3000m近いので気温が低くフリース、手袋をつけて出発。
雪も多く残っていて、危険ではないけど長い雪の上を歩いたりしながら進んでいきます。頂上直下は太いワイヤーとステップを使って急な所を登り詰めると、ようやく頂上。これまでの苦労が報われる瞬間でした。山小屋で飲んだ暖かいココアで体が温まりました。

今日は昨日と違って雲が早く広がり、雷もあると朝ガイドさんが行っていた通り、雲がすぐ上まで近づいていてきています。下山に注意を払いながらロープ-ウェイ駅に戻りました。

ピッツボエ(3152m)山頂にて
ピッツボエ(3152m)山頂にて

特異な岩峰群を見ながら慎重に下ります
特異な岩峰群を見ながら慎重に下ります

◆3~4日目 ドロミテの山々の懐へ
山小屋宿泊・ローゼンガルテンのトレッキング

3日目~4日目はローゼンガルテンのトレッキングです。途中山小屋に1泊します。
連泊したカナツェイは今日で終わり、山から下りたら小さな街コルヴァラ(1568m)に滞在します。ロープウェイの終点駅からはドロミテらしい岩峰群が澄んだ青空のもとに聳えていて、これからは谷を大きく回り込んでドロミテの山々の懐に入っていきます。あの山の奥深く入っていくと思うと期待でわくわくしてきます。

気持ちの良い山のリゾート
気持ちの良い山のリゾート

谷を右に回り込むようにして進みます
谷を右に回り込むようにして進みます

最初は林の中の平坦な道、両脇に咲いている花を眺めながらガルデッチャ小屋に到着。ここからさらに谷の中の歩きやすい道を進みます。岩の上に建てられた山小屋で休憩した後はいよいよより高いところにあるコルを目指します。ここにある山小屋で昼食をとります。この山小屋は崖に這うように沿って建てられていて眺めも素晴らしいところです。昼食はやはり気持ちの良い外のテラス席を選びます。

林間をゆったり歩いて
林間をゆったり歩いて

さらに谷の奥を目指します
さらに谷の奥を目指します

谷の奥に迫ってきました
谷の奥に迫ってきました

見事なお花畑
見事なお花畑

昼食を終えると天気は下り坂で寒くなってきました、ここからはいったん大きく下り、登り返していきます。ここから見る登り返しはとても大変に見えますが実際登ってみると見た目ほどではなかったような(でもここが今日一番の大変な場所でした)。登りつくといきなり霰と雷の洗礼、無事逃れることができました。

今夜の宿、ティエルサーアルプ小屋が眼下に
今夜の宿、ティエルサーアルプ小屋が眼下に

気持ちの良いトレールが続きます
気持ちの良いトレールが続きます

天気も急速に回復し、今夜の宿の、赤い屋根の山小屋が見えてきました。周りの景色も素晴らしい山小屋です。まだ新しく綺麗なこの山小屋は広く眺めの良いレストランとバーカウンターがあり、みなさん思い思いに時間を過ごしていました。レストランの料理は肉か魚を選択できるコースで最後はデザートで締め、贅沢過ぎます。

トレッキングの2日目、朝方から雨が降り7時頃も降っていましたが少しずつ回復し出発の9時に快晴になっていました。最初は下り道、道の左右に色とりどりの花が咲いています。ガイドのピーターは花に詳しくお客さんは満足に花のことを聞いていました。草原にはマーモットがいて癒されます。

翌朝は緑の美しい道を下っていきます
翌朝は緑の美しい道を下っていきます

たくさんのマーモットがいました
たくさんのマーモットがいました

ゆるやかに登っていくと、ひらけた台地の上に出ます。正面にプラットコーフェルの大きな山を見ながらゆるやかな道を歩き、プラットコーフェル小屋、少し下って小さな山小屋を過ぎて、緩やかに下っていくとサンドロペルティニ小屋です、明るく気持ちの良いテラスで昼食としました。

お花畑の草原を進みます
お花畑の草原を進みます

馬ものんびり
馬ものんびり

2日前に登ったピッツボエを正面に
2日前に登ったピッツボエを正面に

サンドロペルティニ小屋で昼食
サンドロペルティニ小屋で昼食

ドロミテ北部の山々
ドロミテ北部の山々

セッラ峠に近づくとお花が増える
セッラ峠に近づくとお花が増える

サッソルンゴ(3,181m)を左手に見ながら、再び緩やかな道を歩きます。相変わらず道の両側には色とりどりの花が咲き、遠くの岩山を背景に美しい眺めです。そしてセッラ峠に到着。トレッキング2日目は昨日のような大きな登り下りがなく、なだらかな気持ちの良い道が続きました。

◆5日目 チンクエトッリ展望トレッキング
ヌベラウの頂上(2575m)は360度の大展望

ドロミテ滞在5日目はチンクエトッリ展望トレッキング、チンクエトッリとは「5つの塔」を意味します。コルヴァラのホテルから車で約30分、ファルツァレーゴ峠に到着。今日もすっきりと晴れ渡り、青空をバックに聳える岩峰群や花々が美しいです。

逆さアベラウピーク
逆さアベラウピーク(2649m)

たくさんのハイカーが登ってきます
たくさんのハイカーが登ってきます

途中の池からアベラウのピーク(2649m)が湖面に映り綺麗です。ガイドさんは花の多いところを選んで歩いてくれてメインの道に合流しました。左手にはトファナ・ディ・ローツェス(3,243m)南壁が大きく素晴らしい迫力です。緩やかな登りから最後に急な登りを終えると正面に谷を隔ててチベッタが再び姿を現しました。

谷を隔ててチベッタ
谷を隔ててチベッタ

アベラウピークの崖下を横切る
アベラウピークの崖下を横切る

アベラウのピークの崖下を横切っていくとアベラウ小屋に到着します。広場で豚の丸焼きをやっていました。ここからヌベラウのピークが斜めにせり上がっています。岩盤を歩いていきますが、見た目よりは楽に登れます。たどり着いたヌベラウの頂上(2575m)は360度の大展望、ゆっくり展望を楽しみました。

モンテ・クリスタロ(3,216m)の麓には明日宿泊するコルチナ・ダンペッツォの街が日を浴びて輝いていました。

ヌベラウピーク
ヌベラウピーク(2575m)にて

モンテ・クリスタロ
モンテ・クリスタロ(3,216m)の麓にコルチナの街

展望を楽しんだ後はチンクエトッリに向かって下っていきます、前方には険しい岩峰、足下には可憐な花々が咲き誇り、気持ちのよいハイキングが楽しめました。

チンクエトッリ
チンクエトッリの岩峰

正面にトファナ・ディ・ローツェス
正面にトファナ・ディ・ローツェス(3,243m)

五つの岩塔の間を巡って行くとそれぞれの岩峰にクライマーが取り付いています。ここはクライミングでもポプュラーなエリア、手軽にリフトで来ることが出来るので多くの人がクライミングを楽しんでいました。第二次世界大戦中はここドロミテも戦場でした。周辺には軍の施設が設けられていました。今は野外博物館として、当時の塹壕跡が残され、パネル等も展示されています。

出会った花々
出会った花々

◆最終日 トレチーメ・ディ・ラバレド(ドライチンネ)の1周トレッキング

ドロミテトレッキングの最終日はトレチーメ・ディ・ラバレド(ドライチンネ)の1周トレッキングです。写真でもおなじみのドロミテのシンボルともいえる場所です。スタート地点のオウロンツォ小屋(2320m)まで車で一気に登ります。

朝から雲が広がりトレチーメの岩峰もガスの中でしたが、暫くすると急速にガスが無くなってきて迫力ある岩峰が姿を表して来ました。ラバレド峠からは写真でおなじみの景色が見られ同時に過去に登ったオベスト、グランデ、ピッコリシマの北壁が懐かしく迫って来ました。ピッコリシマにはクライマーが取付いていました。

ラバレド峠からトレチーメの岩峰
ラバレド峠からトレチーメの岩峰

トレチーメ
トレチーメの北側を歩きます

多くの人が行くロカッテリ小屋への道を避け、途中からトレチーメの北壁を左上に見ながら素晴らしい草原の道を歩き、一番眺めのよい丘の上で持参したランチを食べます。のんびりとした最高の気分です。チマ・グランデ北壁とチマ・オベスト北壁の基部には偵察でしょうかクライマーらしき人がいました。

眺めの良い草原をのんびりと
眺めの良い草原をのんびりと

チマ・グランデ、チマ・オベストを正面に
チマ・グランデ、チマ・オベストを正面に

再びスタート地点のオウロンツォ小屋に戻りドロミテ滞在最後の街コルチナ・ダンペッツォに行きます。
コルチナ・ダンペッツォは2026年の冬季オリンピックの開催地に決まった街で綺麗なとても雰囲気の良い街でした。


朝のコルチナ・ダンペッツォ の街
朝のコルチナ・ダンペッツォの街

標高1211 m の街は空気が澄んでいる
標高1211mの街は空気が澄んでいる

ドロミテは、知る人ぞ知る魅力的な地です、切り立つ岩峰群、 太陽に照らされ、あかね色に輝く広大な山岳風景は日本では味わえない魅力にあふれています。世界中の人々を魅了し惹きつけやまないドロミテに是非とも訪れて下さい。
(文と写真/奥谷 昇)2019.7.8~7.17


●筆者プロフィール●
奥谷 昇(おくや のぼる):
 信州登山案内人(登山ガイド資格)
 フリークライミングインストラクター資格取得
 インド中央政府公認ヨーガ講師資格取得
 全米ヨガアライアンス認定RYT200資格取得

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