大人の寺子屋企画~鎌倉三十三観音御朱印ウォーク 第1回


2019年10月30日 快晴
講師:太田昭彦氏
(風来人87頁)または https://www.maitabi.jp/culture/

鎌倉三十三観音第1回

昨年大好評だった大人の寺子屋企画~鎌倉三十三観音御朱印ウォークが今年も実施されました。近年、御朱印を集める方が非常に多くなっておりますが、この大人の寺子屋企画は単にお寺を巡るだけではなく、大人の好奇心を大いに刺激してくれる大人のための遠足のような企画といえます。講師は、山岳ガイドとして活躍する一方で、四国霊場、西国33観音、京都洛陽33観音などの公認先達の肩書を持つ太田昭彦氏です。堅苦しくなく、非常に親しみの持てる柔らかい話しぶりとわかりやすい解説で皆様もすんなりツアーに溶け込んでいくような印象でした。
抜けるような真っ青な青空のもと、鎌倉駅に10時に集合した後タクシーに分乗して最初の目的地である瑞泉寺に到着。あらためて、ここで皆様にご挨拶とお寺の回り方などを太田講師のほうから説明していただきました。お参りは「お世話なっている目上の人にご挨拶をするような気持ちで」というわかりやすい表現などで話をしていただき、さっそくお寺の中へ。

PA300091

PA300107

梅の木が多くある本堂までの小径を歩き、門をくぐると庭も見事なものでした。鎌倉でもやや奥にあるこのお寺は、駅前のにぎやかさとはまったく異なりとても静かで落ち着いてお参りができました。皆様が興味を持ちそうな事柄や目にするものなど、とにかくわかりやすいというのが太田講師の売りです。参加者の方からの質問にも丁寧に、そして時にはユーモアをまじえての話ぶりがなんとも言えません。本堂の前では、恒例となっている般若心経を皆で唱えます(任意)。事前に「勤行次第」というものを皆様にお渡ししておりますので、ご安心下さい。30分ほどでお参りと解説を終えて、歩いて次の杉本寺へ。途中、源頼朝が奥州合戦の戦没者のために建てたとされる永福寺跡と鎌倉宮に立ち寄りました。白い鳥居の理由など、何気なく通ってしまうと気づかないことにもしっかり解説していただき、おもわず、なるほど!

PA300117

永福寺跡

杉本寺は、鎌倉最古の寺としても知られ、苔むした階段(現在は歩くことはできません)や茅葺屋根の本堂、そして鎌倉三十三観音と坂東三十三ヶ所の第一札所でもある由緒あるお寺です。
本堂の中にお邪魔して、ご本尊の十一面観音を拝ませていただきながら、太田氏の軽快な解説はまさに説法のようでした。

PA300124

PA300122

この時期としては、やや日差しが強くなんとなく汗ばむような陽気でしたが、ついこの前まで台風続きで日照不足だったことを考えれば太陽の光が本当にありがたい気分でした。
太田氏おすすめのレストランで昼食の後、報国寺へ。立派な門の開閉を支える筋金(八双金物)や乳房の形をした乳金物の解説から始まってお寺の中へ。このお寺は枯山水の庭と竹林で有名です。この見事な竹林のせいか、ここでは外国人観光客を多く見かけました。やはりインスタ映えなのでしょうか。先日の台風の影響で竹が傾いてしまったのか、紐を使って蜘蛛の巣のように互いを支えるような処置がされており少々痛々しい感じでした。

PA300139 (6)

PA300150 (5)

4か所目は銅板葺きの立派な屋根が印象的な浄妙寺。ここには足利尊氏の父・貞氏のお墓があります。
太田氏の解説のもうひとつの特徴は、寺社仏閣の知識だけでなく関連する歴史についても非常に詳しいことです。これぞ大人の寺子屋!幅広い知識に皆さん驚かれていました。

PA300155

5か所目のお寺は明王院。お不動様のお堂の前で話をした後、本堂前では同じよう般若心経を唱えました。茅葺屋根の建物ばかりで、古都鎌倉の風情をしみじみと感じられます。私にとってはなんだか懐かしく子どもの頃によく遊んでいた近所のお寺を思い出しました。庭に植わったしだれ梅の木が春にはきっと麗しい花を咲かせるのでしょう。春にも来てみたいものです。

PA300166

PA300163

そして、最後は光蝕寺。毎回お話をしてくれる気づかいのあるご住職ですが、今回は急な事情で残念ながら話しを聞くことはできませんでしたが、太田氏の解説と時宗の開祖・一遍上人の像も拝んでお寺を後にしました。
PA300170

太田氏の解説は終始わかりやすく、またユーモアがあるので聞く側を飽きさせません。難しい話もかみ砕いて話をしてくれるので、あっという間の一日でした。
お寺の種類やお寺の格など、もちろん知っている方もいらっしゃいますが、本で読むよりも生きたお話があり、お寺めぐりが面白くなったのではないでしょうか。鎌倉三十三観音は全5回ですが、途中からのご参加も問題ありませんので、ぜひ門をたたいてみてはいかがでしょうか。
(記事・写真/渡辺和彦)