まいたびレポート2018年3月7日~18日 
「世界遺産タッシリナジェール山脈トレッキングと
 北アルジェリア12日間」

すぐにその位置がわかる方はおそらく少ないでしょう。
日本からもはるか遠く、ニュースになることもほとんどなくどこか遠い印象の国ではないですか。実際に訪れた感想はとにかく日本とはかなり違うことが多く、そういう意味でとても面白い国でした。これこそがまさに旅の醍醐味ですね。

日本からカタールで乗り継いで首都のアルジェへ。
いつもまず初めにその国を実感するのが、空港に到着して機内から出てターミナルへとつながるブリッジで感じるその国匂いです。長時間の機内から解放されて吸い込む地上の空気には、その国らしさが表れているような気がします。カラットした空気、しっとりとした空気など、湿度とともに感じるその地の匂いは私なりの海外ツアーの楽しみ方なんです。


 アルジェに到着

ホテルへ行く前に立ち寄ったのがアルジェリアの独立記念塔。1962年にフランスから独立したアルジェリアではフランス語を話せる人もかなり多く、公用語のアラビア語と変わらないくらい広く話されています。この独立記念塔は高さが90m以上とかなり巨大です。

こういう巨大なモニュメントが多い国にはなんとなく共通項がある気がします。アルジェリアはイスラム教の国。アルコールに関しては、イスラム教の国でも寛容度にはかなり差がありますが、アルジェリアはかなり厳しく、アルコールを提供するレストランを見つけるのはかなり大変です。お酒好きな方は覚悟して下さい。もちろんガイドはある程度は知っていますが。

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さて、翌日は本格的にアルジェ市内の観光。
旧市街は世界遺産です。モスクはもちろんありますが、フランスの植民地だったことからヨーロッパの雰囲気を感じさせる建物も多く残されています。白色の建物が多く、太陽が当たると少し眩しい感じでした。

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アルジェは地中海に面した街なので、海の景色も楽しめます。
そして忘れてはいけないのが、シーフード。シンプルな調理方法でしたが、新鮮そのものでかなり堪能させてもらいました。
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旧市街の観光で忘れてはならないのが、映画「カスバの女」の舞台の細い路地。
高低差のある旧市街は細い路地が入り組み、共同の水飲み場があったり、猫が散歩をしていたりととてものどかで雰囲気もありゆっくりとした時間の流れを感じさせてくれます。

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ル・コルビュジィエが愛した街・ムザブの谷
この日の夜、アルジェを経って中部のムザブの谷を目指してガルダイアへと国内線で移動。
アルジェリアは実はアフリカでは最大の国土面積を持つ国で、日本の6倍以上もあります。アルジェからの距離は約800km、これでもまだまだアルジェリアの北部なのでその大きさがわかりますね。

お目当てのムザブの谷は世界遺産。イスラム教の教えを今なお厳格に守り続けている5つ村がこの谷にあります。あの建築家ル・コルビュジィエが強く影響を受けた町でもあります。美しい曲線のイメージを自分の作品に多く取り入れたといわれています。その街の景色は地中海沿いのアルジェとは景色がまったく違い、映画のセットのような砂漠の中にあるオアシスです。車両が行きかうことなどまったく想定もしていない路地を歩く女性たちは、白い布をすっぽりとかぶり、片目だけを出して歩いています。ずっと昔から変わらない人々の営みがあることを強く印象付けられます。

こんなふうに、自分が知らない世界を感じることが旅することの最大の魅力です。私たちは3つの村を訪れ、世界遺産のムザブの谷に生きづく信仰を肌で感じることができました。
正面からの写真撮影はマナー違反ですので、ご注意下さい。
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魅力が詰まったサハラ砂漠
5日目、ウアルグラから南部のイリジへと国内線で移動し、さらに車両で5時間ほどかけてジャネットという町へ移動しました。イリジからの道は砂漠の中の荒野をひたすら走行します。途中にはアメリカのモニュメントバレーを想起させる岩山があり、バスを止めてもらい休憩を兼ねて写真撮影。砂漠と言えば、砂だらけの荒野をイメージする方も多いと思いますが、岩砂漠という形態があります。アルジェリアには両方の砂漠が広がっていて、実は砂漠はかなり魅力的だということにエチオピア以来新ためて感じさせられました。

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一筋縄ではいかない世界遺産タッシリナジェール
実はタッシリナジェールに入り、私たちはコースの変更を余儀なくされました。
タッシリナジェールはチュニジアとの国境に近く、今回のコースとして予定していた台地上になった場所で軍が演習を行うという話しがあり、そういった情報はこういう国では急きょ変更されたりすることもあるので、直前まで様子を見ていたのですが結局予定通り行われるとのことでそれに従わざるをえず、歩くコースを変更しました。
国家の決め事や軍の力が強いのはこういう国では不思議なことではなく、難しさの反面、日本ではありえない起伏を感じますし、すべて順調で当たり前という概念を捨てなければなりません。そうでなければとてもツアーは楽しめません。
それでも未知なる砂漠でのトレッキングとキャンプに心躍らせずにはいられませんでした。参加した皆様にも十分に素晴らしいサハラ砂漠の経験を味わっていただきました。4WDに分乗し、舗装路からはずれて一気に広大な砂漠の中を2台の車で疾走。タイヤはアスファルトの上のような音もたてず、車は強い日差しの中を砂漠を独り占めしてガンガン、でも静かに走っていきます。流れていく光景は創造いていた砂丘の比ではありません。何の目印もなく、ただ砂漠の中から巨大な岩が立ち上がっている中をドライバーはまるで自分の庭のように車を走らせ、車を停めたところは強烈な日差しをよけられる大きな岩の陰。
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スタッフはお湯を沸かして、お茶の準備とともに昼食の準備。多少の事前準備はしていましたが、手慣れた要領でてきぱきと砂漠の中での最初のランチが出来上がりました。

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濃くて甘いお茶はなんとなくこういう気候の中では不思議と癖になるような味でした。
ゆっくりと昼食をとり、まだまだ日差しが強い時間でしたが、最初のキャンプ地に向けてトレッキングをスタートしました。行けども行けども岩と砂。一見、飽きてしまいそうな光景に思えますが、むしろ歩けば歩くほど砂漠に惹かれていくような不思議な気分でした。それはやはり驚きというか未知なる景色への新鮮な感動だったように思えます。
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人間を寄せ付けない場所のようですが、この砂漠の中に、人がいた痕跡が残されています。それが壁画です。タッシリナジェールが世界遺産に登録されている理由のひとつがそこにあります。かつてのタッシリナジェールは今とは違い狩猟ができるほどの豊かな大地だったと言われています。水も豊かで、人々が確かに生活をしていた場所だったということにとても驚きます。それが壁画にも表されています。

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ドライバーたちは一足先回りをしてキャンプの設営をしてくれます。ダイニングはもちろん、テントもすべて立てて私たちの到着を待っていてくれます。雨の心配もなく、食事はオープンダイニング。極端に冷え込むこともなく、上着を着れば十分な気温。日没とともに澄み切った空には満天の星が輝き、変化する砂漠の表情は信じられないほど幻想的でした。砂漠でのキャンプは間違いなく想像以上で贅沢な時間です。日本からはるか遠いアルジェリアの砂漠の真ん中でキャンプをしているのが夢のような時間でした。
早朝、朝日を見ようと見える場所まで移動しながらサンダルを脱いで砂の中に足を入れてみると、日中とは違いひんやりとそして不思議なほどしっとりしていました。砂浜の砂とはまったく違う、きめの細かな砂がとても心地よいのです。

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朝食を済ませ、この日も新たな感動を求めてトレッキング。相変わらず私たちにはいったいどこを歩いているのかまったくわかりません。ガイドなしでは間違いなく道迷いしてしまうことでしょう。岩の大きさや、並び方同じように見えてもガイドにはその違いも方向もわかっています。案内板などまったくありません。それでも道を間違えることもなく本当に頼もしいものです。
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この日はある程度のところで車と合流し、別のキャンプ地へと移動。車で移動中に砂漠の住民、ラクダの群れにも出くわしました。人に飼われているようですが、放牧というにはあまりにも途方もない飼い方です。子連れのラクダにも会いました。その他にも壁画があったり、アメリカのアーチーズ国立公園のデリケット・アーチのような岩のアーチがあったりと、感動的なスポットが随所にあります。
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確実に砂漠の虜になっていたと思います。午後は木陰の下で昼食をとり、もっと岩が迫る狭隘な谷をトレッキング。車のあり場所に戻ってこの日のキャンプ地へ。
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この日は前日のキャンプ地とは違い、岩のない砂の砂漠の中です。
キャンプ地に到着後、夕闇が迫る前に砂丘の上に登ってみました。波のうねりのように延々と砂の丘が連なり、ただの砂がこんなにも美しいと思えるものかと、自然のなせる美しさに心があらわれたようでした。

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キャンプ地ではスタッフが夕食の用意。こんな砂漠の中で食べる食事は、街中のどんな高級な食事にも劣らないと思えるほど本当に贅沢で最高の時間です。私たちが寝るのはテントですが、スタッフはちょっとした砂と風除けの衝立のようなものの近くで、敷物を引いて寝ます。場所は違いますが井上靖の小説「敦煌」に出てくる一場面を見ているようでした。

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翌朝も砂漠に昇る日の出を楽しんでから出発。まったく遮るもののない、正真正銘の地平線から朝陽が昇ります。もうこのころになるとサンダルもはかず、素足のほうが気持ちいくらいでした。しっとりした感覚は忘れられません。

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食事を済ませ、「泣く牛」の壁画のあるタガルガルドに立ち寄りました。ちょっとした有名スポットですね。その後もパリ・ダカールラリーのごとく4WDで砂漠を縦横無尽に走りながら、小高い場所で車を停めて景色を眺め、サハラを満喫。砂のうねりは風の影響で数日で変わっていくこともあるそうです。中には、人が造ったのではないかと思わせるような砂丘すらあります。風が造る芸術作品がいくつもありました。

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ホテルでシャワーを浴びてから夕食は再び砂漠の中で最後の食卓を囲みました。しかも砂漠の民からの音楽付きです。
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一生懸命私たちをもてなしてくれたスタッフとの別れを惜しみつつタッシリナジェールを後にして、アルジェへと戻りました。アルジェ近郊では、モーリタニア王家の墓、世界遺産ティパサ遺跡を見学。再び海を目にして、あらためて内陸のタッシリナジェールとの景色のギャップに国土の広さを実感しました。
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北は地中海、そして内陸は広大なサハラ砂漠というアルジェリア。景色も民族もダイナミックに違う表情は、アルジェリアの魅力のひとつといっても過言ではありません。行程の一部変更はありましたが、それすら十分楽しみに変えられるような不思議な魅力がアルジェリアにはありました。そして、またそんな旅に皆様をご案内できたことをうれしく思います。ご参加ありがとうございました。

(文と写真:渡辺和彦)