まいたびレポート2018年6月15日~24日 
「ロフォーテン諸島フィヨルドハイキングと
 世界遺産フィヨルドクルーズ 10日間」

夏至が間近に迫った6月中旬にノルウェーに行ってきました。
最初に目指したのは北部のロフォーテン諸島。そもそもこのロフォーテン諸島は、日本ではあまり耳にしない地名ですが、ヨーロッパではとても風光明媚な場所として知られる絶景の地です。知り合いのドイツ人からもお墨付きをもらった場所です。別名“洋上のアルプス”とも呼ばれ、海からニュキニュキと山が聳えているような光景が特徴です。

成田からコペンハーゲンまで約8700km、さらに約520kmを飛行してノルウェーの首都オスロに到着。オスロで1泊したのち、遥か北部のエヴェネスに再度飛行機で移動しました。
エヴェネスは北緯68度に位置する町。高緯度にあるため5月下旬から7月下旬までは白夜の時期となります。
空港で出迎えてくれたドライバーのジョニーさんは恰幅がよく、いかにもドライバーさんというような気さくな雰囲気。すぐに打ち解けながら、まずはスヴォルバーの登山口へ。目指す山は、ディジェドベルグティンデンという舌を噛みそうな名前の山。標高は367mと丘のようなものですが、樹木もまばらで、景色がいい場所が多いのです。多くの島からなるロフォーテン諸島はそれぞれが橋で結ばれ、交通量も少なく移動には非常に快適です。

しかしながらロフォーテン諸島初日となったこの日はあいにくの小雨が降っており、移動しながらやんでくれないかと祈っていましたが、スヴォルバーに到着するも冷たい雨はやまず。残念ながら最初の登山は泣く泣くあきらめることにしました。
その代わりに雨が小降りになったのを見計らってスヴォルバーの街中を散策。スーパーがあるショッピングモールなどをまわり、ホテルでのんびり過ごすことにしました。冬が長いノルウェーらしく、建物はシンプルながら色づいかいに暖かみがあり、見る人を落ち着かせてくれます。北欧デザインというのはなんとも心地がいいものです。泊まったホテルは、海のそばというよりもうすでに海の上というか海に突き出ています。


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翌日は、快晴の青空のもと意気揚々と出発。この日はホーランズメレンという434mの山が目標です。やはり標高はそれほどでもありませんが、日帰りでの簡単なハイキングが目的なので、標高はとりあえず今回は二の次です。

途中立ち寄ったヘニングスヴェーは小さな村ですが、やはり漁師町の雰囲気があり、名物の干しダラもありました。干してあっても結構な大きさで、日本でも地方の漁師町に行けば目にするイカや干し魚と同じようなものでしょう。それがノルウェーではタラです。当然この干しダラを使った料理をこの後、食したのは言うまでもありません。ポルトガルでもおいしい干しダラのバカリャウを食べましたが、こちらも同じように厚みがありなかなかのものでした。
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さて、山のほうですが、何の目印もない登山口からスタート。
樹林帯からやや開けた場所に出て振り返ると、ロフォーテン諸島らしさを感じさせるアルプスの山々が見えました。海から急激にそそり立つ山々の光景が、まさに氷河によって削られてできたフィヨルドの地形そのものです。一方、行く手の正面を見ると登りやすそうなピークがありました。歩き進むにつれて、右も左も少しずつ景色が広がっていきます。山を登っていると、その景色が徐々に変化していくのが大きな楽しみです。見えなかったものが徐々に見えてきたり、見えていたものがさらに迫力を増したり。そして、その先に目指す頂からはどんな景色が眺められるのか、そんな想像をしながら登る過程を楽しみながら進んでいくことが大きな喜びです。プロ登山家の竹内さんも登山は想像のスポーツだとおっしゃっていました。本当にその通りだと思います。歩く、登るという単純な行動の中で感じる奥深さがあります。

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いったんやや平らな場所に出た後、いよいよ最後の登りです。
お椀を回り込むように登っていくと山頂はやや広く、360度の視界は抜群。皆さん初めて登るノルウェーの景色はどんな想像をしていたことでしょうか。前日が雨で登れなかった私たちはノルウェーの景色に飢えていたのかもしれません。日本からはるばる何千キロも離れた、遠いノルウェーの北部で偶然のタイミグで出会った好天が一層ありがたく感じました。皆さんは日本でいろいろなことを想像して参加されるので、いい意味でその期待を裏切り、想像以上のものを見たり体験してもらえることが私たちの大きな喜びでもあります。前日に自分たちで選んで購入した食材でランチを作り、山頂で食べるその味はなんとも言えない格別な味です。山が見える、海が見えると言葉で書けば単純ですが、目にしている景色は単純ではないのです。これぞ海外旅行の醍醐味と感じる時間です。手作りのランチ同様、ツアーにも手作り感があることを心がけています。

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山頂での景色をたっぷりと楽しんだ後、足取りも軽く下山してロフォーテンいち美しい村として知られるレイネ村へ。
レイネ村は、ロフォーテン諸島の中でもかなり南部のほうにある本当に小さな村です。そんな小さな村でも夏になると多くの観光客が訪れ、宿は予約ですぐにいっぱいになります。そして今宵の宿は、一般的なホテルというようなものではなく、昔からこの地にあった漁師小屋を改装して作られたロルブーという宿泊施設です。それを目当てに来る人たちで混みあうのです。赤いペイントが施された小屋は北欧らしさを醸し出し、中は広々として、キッチンまでついてかなり快適です。高級という概念ではないのですが、その土地に合った雰囲気が景色を損なわずとても味わいがあります。こういう景色を損なわない宿泊施設は個人的には本当に大好きです。少し離れた場所から見る村の景色はまさに絵葉書のようで、海のアルプスという形容詞もうなずけました。名物の干しダラの干し棚もあちこちにあり、村中にタラのにおいが漂っているほどです。

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登山は翌日でしたが、念のためと思い到着したその日に下見に出かけたところ、予想以上に登山道が荒れており、また滑りやすいところも多数あり、慎重に検討した結果コースを変更することを皆さんに提案させてもらいました。ちょっと残念ではありましたが、安全には替えられないので、私が登ってその写真を皆さんの記念にしていただくことに。全員で行くことはできなかったのですが、下見をしたレイネブリンゲンからの景色もアップしておきますので、ご覧ください。ロフォーテン諸島いち美しい村は、絵葉書のように本当に美しい場所でした。

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そして、この日の夕食はあちこちで目にしてきたタラをはじめ、ボリュームたっぷりの食事をいただきました。
夕食が終わっても、日は暮れません。そうです、この時期は白夜の時期です。寝付くころでも外は明るく、白夜のない日本人にはなんとなく寝ていいものか迷ってしまいます。それでも時間は時間なので、お腹いっぱいになった満足感で膨れたタラのように眠りに落ちました。本当に沈まないのか?確かめたくなるのが好奇心というもの、夜中に何度か目が覚めた時に確かめてみましたが、本当に外は明るいままでした。

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翌朝、暮れない明るいままの空のもと、変更したコースへ。ちょっとした住宅街から小高い丘の上に登ると、村全体が見渡せる場所に。右手にはフィヨルドだとよくわかる入り江が広がり、左手にはレイネ村、そして正面には荒らしく氷河に削られた岩峰の開放的な絶景が屏風絵のように出現。どんなに高精細なハイビジョンでもやはり生の景色を越えることはできないでしょう。4k、8Kでもありません、絶Kです!ノルウェーの森ならぬ、“ノルウェーの海“の舞台に立っているような気分でした。

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翌日は、ロフォーテン諸島を後にして、南部のベルゲンに移動。ほどほどの大きさの町のベルゲンは歩いて散策するのにちょうどぴったり。雨が降ったりやんだりする中世界遺産のブリッゲンまでまずは徒歩で移動。カラフルな木造の家屋が今なおきれいに保存され、レストランやショップになっているものもあれば、博物館のように展示がされているものあり、細い路地を散策しながらひと通りいにしえの雰囲気を楽しみました。

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路地裏で見かけた巨大なタラの木彫りはなんともグロテスクな感じでしたが、この町にとってタラがなくてはならないものであることをしのばせてくれます。

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そのあとは、お決まりの“決めていない”レストランで夕食。決まっていないため、レストランの選択にやや骨は折れますが、楽しみも増えるような気がします。そんな夜を皆さんと今回も楽しみました。

翌日はホテル近くのベルゲン駅からベルゲン急行に乗り、世界遺産のフィヨルドクルーズへ。車窓からの景色も楽しみにしていましたが、外はあいにくの雨。おかげで景色を満喫とはいかなかったものの、海外で列車に乗ることは決して多くないので、新鮮な気分でした。ミュールダールでフロム鉄道に乗り換えてフィヨルドクルーズの出発点となるフロムへ。到着するころにはなんとか雨はやみ、クルーズ船で世界遺産のネーロイフィルドを観光。ネーロイフィルドはソグネフィヨルドの一部で、フィヨルドの中でも最狭と言われており、もっとも狭いところで幅が250mほどしかありません。ノルウェーの西海岸に血管のように発達したフィヨルドの中の毛細血管の部分と言えるでしょう。船はソグネフィヨルドから、海の上を揺れることもなく滑るようにやがてネーロイフィルドのほうへと進んでいきます。船でしか行き来ができない集落がいくつもあり、その集落に覆いかぶさるようにそそり立つ崖は1000mもあります。平らな土地があっても全体的には狭く、仙人のような生活に思えてしまいます。

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船の終着点からはバスと列車を乗り継ぎ、再びベルゲンへと戻りました。

翌日は、ベルゲン市内を一望するウルリケン山の上でハイキング。市内からも近く、ロープウェイで上がれることからベルゲンでは人気のスポットでもあります。ほどほどの大きさのベルゲンと、それに続くフィヨルド地形を展望することができます。

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ハイキング後、いったんホテルへ戻り、この日にスタヴァンゲルへと移動しました。
スタヴァンゲルはベルゲンよりもやや小さな町で、やはり歩いて散策できるのでとてもありがたいです。歩いて町中を散策するといろいろなものが目に入ってくるので、その街の特徴がよりわかるようになります。街の飾りや建物の看板ひとつをとってもよくわかりますし、ちょっとカフェやレストランを覗けば、地元の人が食べているものまで見えて、その町に溶け込んだような気分になります。いわゆる街角の風景というのでしょうか。歩いて多少迷子になるくらいがちょうどいいと思ったりします。でもスタヴァンゲルはそこまで大きくはないですが。

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市内のどの建物よりも大きいのではないかと思うような巨大客船も見ることができました。

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さて、ノルウェーでの最後のハイキングはプレケストーレンと呼ばれる絶景の断崖を往復するコースです。フェリーとバスを乗り継いで、登山口へ。スタヴェンゲルではこのハイキングに行かないわけにはいきません。次から次へとハイカーがやってくる大人気のコースです。私たちが歩いている間でも常に人の往来があり、中にはちょっと場違いのような観光客もいましたが、それくらい行ってみたいのでしょう。何の変哲もない登山口から、樹林帯を通り、スラブ岩の庭のようなエリアを抜けると、フィヨルドが顔を出します。

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そこからは土の上ではなく、巨大な岩の上を歩いて緩やかに登って出た場所でハイカーたちが足を止め、ポーズをとる人、下を覗き込む人などがいるのでそろそろなのかとわかります。そこにたどり着くまでは向こう側の景色が見えないので、崖の縁にたどり着くと映画の巨大スクリーンが開くように一気に景色が広がります。「うわーー、高い!」当たり前ですが、まず誰もが最初に発するのがこの言葉でしょう。崖の縁には景色を壊すような柵など一切なく、「どうぞそのままの景色をお楽しみください。」といわんばかりの楽しませ方です。あえて人工物を作らない、さすがです。

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崖の縁に沿うように奥へ行くと、見えてくるのがフィヨルドに突き出たテラスのような岩棚です。初めにここが発見されたのはきっと海からでしょう。そして、この場所に最初に立った人はどんなにか感動したことでしょうか。安易に柵など作らず、そのままの状態にしてあるところがまたありがたいです。少し上から見ると、このテラスが突き出ているのがさらによくわかります。とりあえず、インスタ映えとしておきましょうか。これを絶景と呼ばずしてなにを絶景と呼ぶのでしょうか。そんな場所です。


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大概の人たちがそうするように、私たちもこの上でお昼を食べてから山を下り、来た時と同じようにバスとフェリーを乗り継いで、町へと戻りました。
この日の夕食がノルウェー最後の夕食となります。週末の金曜ということもあってどこも結構予約が入っているようで、ちょっと焦りましたが、最後まで“決めないレストラン選び”で、とあるレストランを直前で予約してから、前日の散歩で見つけたかわいい通りを歩きながら皆さんをそのレストランへ案内しました。その通り沿いにはカラフルな建物が並び、窓際や街頭にはたくさんの花が飾られ、多くの人は室内よりもむしろ戸外で食事やお茶を楽しみ、ようやく来た夏を満喫しているような雰囲気に満ちていました。

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そんな雰囲気に導かれながら、通りを抜けて入ったレストランは港の近く。なんとなく港の倉庫を改造したような“横浜赤レンガ倉庫”というような佇まいで、外観は地味でしたが、中に入ると広々として雰囲気も良く最後の晩餐にはもってこいの雰囲気でした。
「さーて、何を注文しようか」と、いつものようにその場で英語のメニューを見ながらいくつか食事を注文。皆さんは決して不安ではないでしょうが、大役をいただき、注文をした私にとってはメニューに写真があるわけではないのでプレッシャーを感じるものです。それでも、うれしいのがそういうことを皆さんが楽しんでくれることです。期待と不安の中話に花を咲かせていると、注文した料理が1品ずつ運ばれてきます。新鮮なサーモンや牛のたたきのような肉、エビのフライなど、見ただけで新鮮さがわかるほど。ノルウェー料理自体が美味なのか、それとも選んだレストランがよかったのか、まあそれはさておきノルウェーテイストに合格点。欧米人であれば、通常は各自が前菜やスープ、そしてメインといった感じでしょうが、アラカルト重視の私たちにはそんなルールはありません。良くも悪くもボリューム満点なので、取り分けて食べる居酒屋スタイルでいただかせてもらいます。

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最後の晩餐ということで今回の旅を振り返りながら、お酒もすすんで盛り上がっているときにでてきたのが、巨大な寿司プレート。確かに注文しましたが、見た目にも色鮮やかで、そのボリューム感もかなりのものがあり、思わず大喝采。これには皆さん驚いていましたが、正直なところ注文した私が一番驚きました。ホテルのブッフェやパーティーで出てくるような大きさが私たちの小グループの目の前に。

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注文をする際に、店員さんとはいろいろ話はしましたが、みんなで取り分けて食べるスタイルを十分理解してくれたようでした。最後の晩餐にふさわしいちょっと豪華な雰囲気になり、大満足のノルウェーとなりました。
ノルウェーで見てきたフィヨルドのように、参加していただいた皆さんの心に深く刻まれる思い出となればうれしい限りです。こんなスタイルを楽しんでいただきありがとうございました。

(文と写真:渡辺)