まいたびレポート2020年12月1日 
風来人「 国の特別史跡・特別名勝の紅葉の小石川後楽園と神楽坂の路地歩き」
【同行講師:小林祐一/旅と歴史のプロ・ナビゲーター】


【小林先生の今後のツアー/毎日新聞旅行はこちら↓】
『重要文化財が建築が点在する成田山新勝寺へ』1月15日(金)発

目からうろこの小林流ツアー第2回目は、小石川後楽園と神楽坂の路地裏歩きです。
神楽坂の目の前、飯田橋からスタート。新しいお店も増えてすっかりお洒落な雰囲気とイメージの神楽坂ですが、今なお芸者さんのいる花街としても有名な場所です。神楽坂をまっすぐ走る表通りから一本通りを入ると情緒ただよう隠れ家的なお店があちこちにあります。少し前までは外国人にも人気のエリアでした。
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今回の参加者の中には、何度も神楽坂に来られている方もいらっしゃいましたが、それでも歩いたことのない場所だったということで、「神楽坂」は奥が深いとおっしゃっていました。確かに、路地に入ると迷路のようで、方向がわからなくなってしまいそうです。逆に言えば、それだから路地裏歩きが楽しめるとも言えます。慣れた感じで小林先生はすいすいと歩いて江戸三毘沙門のひとつの善国寺へ。
毘沙門天と言えばやはり四天王の話をしないわけにはいかないですね。皆さんに視覚的にもわかりやすいように、紙に文字を書いて説明してくれました。その他にも、狛犬ならぬ神使の狛虎?毘沙門天の本来の「お使い」はムカデともいわれているようですが、毘沙門天が出現したのが寅年、寅日、寅の刻だったということから、虎も「お使い」になっているようです。
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その後、路地裏を引き続き歩いて光照寺に到着。よほどのことがない限り訪れることはない場所でしょう。ここには出羽の松山藩主だった酒井家の墓があります。江戸期から、国元ではなく都内に残る貴重な大名のお墓のようです。この他にも、江戸時代の狂言師のお墓や、旅先で客死した旅人の供養塔などがあり、まったく知らないことばかりでした。

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まだまだ路地裏歩きは続きます。ある場所では東京のど真ん中とは思えないような家屋もあり、神楽坂の奥深さを感じました。神楽坂の路地裏にはまだまだ昭和の風景が残っています。

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さらに、境内にマンションを建てているという赤坂神社に立ち寄りました。路地裏のレトロな風景とこういった新しい発想の伝統が共存しているのにも驚かされます。

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時間もお昼近くになりましたが、お昼の場所までも路地裏を歩いて向かいます。本当に路地路奥深くにまでお店があり、ネコしか知らないような雰囲気の路地もありました。


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お昼もこだわりの隠れ家で。何気なく歩いていたら絶対見逃してしまうような風情あるお店です。元々はとある企業の会長さんの個人宅だったようで、これぞ本物の隠れ家レストランでした。彩りも美しい料理を味わいました。

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風情も味も楽しめた昼食の後は、いよいよ小石川後楽園です。
東京のど真ん中、文京区にある小石川後楽園は大名庭園として知られていますが、この庭園が国指定の特別史跡・特別名勝の二重指定を受けている価値の高い庭園であるということは意外と知られていません。もっと言えば、二重指定を受けている庭園は全国でも数えるほどしかありません。二重指定は国宝に値するほどだということです。さらに、都内にある浜離宮恩賜公園も同様に二重指定を受けています。あの金閣寺庭園、銀閣寺庭園も同じく二重指定です。

こんな話題から始まった午後のツアー。降り出した弱い雨の中でしたが、庭園に残る紅葉を見ながら、やはり先生ならではの視点が活きる場所を通って解説。「庭園内にこんな道があるとは」といった声が聞こえます。一般の方ならまず間違いなく大名庭園の広大な広さと、季節の美しさを満喫して終わってしまうでしょう。しかし、この庭園のポイントは「大名庭園」であるということにありました。石や樹木などの自然を、名所や名山に「見立てる」技法を「縮景(しゅっけい)」というようですが、そういった技法を随所に取り入れて客人を楽しませるだけでなく、もてなす客人の教養レベルを試すような値踏みをする黄門様の意図が隠された庭園なのです。庭を案内しながら客人の質を見極め、それに合わせて話をする、これには誰もが本当に驚かされました。今回も目からうろこです。こういう解説付きでまわると面白さがまったく違ってきます。まさに先生に私たちのレベルが試されたよう気さえしました。
奥が深い小林流の読み解き、まだまだ路地裏の小径のように出られそうにありません。
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文と写真:渡辺和彦