まいたび登山部2021年1月
撮影よもやま話:極寒の石割山(1412m)からの富士山と日の出を仰ぐ
年末の某日、私たち動画撮影隊は新春らしい画(え)を届けるべく石割山に登りました。すでにYouTubeでは公開していますが、今日はその撮影よもやま話をお届けします。<INDEX>
- 月明かりが煌々と照らすなか、早朝の登山口へ
- 石割神社
- 日の出と競争するかのように山頂に到着
- 富士山が色付く変化の様を「タイムラプス動画」で撮る
- 温かい飲み物も気づけばシャーベットになるほど
- 今回は新兵器として360度カメラが私たちに加わりました
- 山小屋応援カレンダーも山頂へ
- 山頂で約1時間30分の撮影を終えた後は、少し先にある平尾山を目指しました
- まいたび YouTube動画にかける想い
「朝日が当たる富士山は1年の初めに届ける画としてこれ以上ふさわしいものはないでしょう」ということで、それに合わせて準備を進めました。目指すは、石割山の山頂。石割山は、山梨県南都留郡山中湖村・同忍野村、都留市の境界にある標高1412 mの山です。山頂が開けているため、富士山の撮影がしやすいとも言われています。 山頂での密を避けることを考えると、初日の出ではなく年内に事前撮影を行い、元旦公開に間に合うようスケジュールを組みました。
前日からメンバー全員が現地に入り、これまでのメンバーと初めて参加いただく女性登山ガイド・添乗員の皆さまで、それぞれが山に登り始めたエピソードを共有し合いました。また撮影隊の中には冬山が初めてのメンバーもいたため、装備の確認や心構えなどのレクチャーも。それぞれの役割を明確にし、「喜んでもらえる画(え)を撮ろう!」と一致団結。
この頃、年末の寒波が幾度となく報道されており、関東の太平洋側は雪の心配ないもののどれだけ冷え込むのかと前日からその点だけが気がかりでした。
月明かりが煌々と照らす中、早朝の登山口へ。
登ってもいないのに身を刺すように冷え切った空気。
山頂はもっと寒いだろうなーと嫌な想像をしながら石段の前にある鳥居で、まずはご挨拶。うまく口がまわりません。
最初のコメント撮影の後はいきなりの長〜い石段。およそ400段あると言います。
人工の段差があると自分の歩幅で歩くことができないのできつく感じます。しかもまだ朝の5時過ぎ。温かい布団が恋しい。そんな想いを引きづりながら暗い石段を一歩一歩。
身体を慣らしながら400段を登りきり、一息ついてさらに先を急ぎます。
次のポイントは石割神社。
この山の名前の由来ともなった巨大な岩が二つにスパッと割れています。ご神石?3回その割れ目を通ると幸運を授かるといわれている非常にありがたい場所です。
ふと遠くに視線を移すと、水平線がかすかかにオレンジ色になりながら夜が明けようとしてきているのがわかりました。
あまりのんびりしていたら日の出に間に合わない!
ここからペースをあげ、心の中では必死で景色の美しさに足取り軽く、まだ足元が暗い中を山頂を目指しました。
その間にもどんどん東の空は赤みを増して、星が輝く夜空から濃い青、青、そしてその下からぐんぐん暗い夜空を押し上げていくようオレンジ色が迫っていました。日の出時刻と夜明けのグラデーションの始まりには当然ズレがありますので注意が必要です。
日の出と競争するかのように山頂に到着
すると、まだ朝日があたる前の富士山が目の前に飛び込んできました。夜が明けきらない冷え切った空気の中で雪化粧した上半身を白く輝かせながら。富士山の右手上方には、これから役目を交代する太陽を待っているかのように輝く月。富士山が色付く変化の様を「タイムラプス動画」で撮るべく自宅で練習したカメラを手早くセット。
寒さでバッテリーが死んでしまわないようにネパールで買ったハンドメイドの帽子をカメラに被せて撮影スタート。すでにこの時の気温はマイナス10度以下。時折、山頂特有の逃げ場のない風が身体も機材も一層冷やしていきます(寒冷地でのバッテリー管理は特に注意が必要です)。空の色とともに富士山の色もどんどん変化していきます。日の出前に空が濃い青に染まる時間は「ブルーアワー」と呼ばれていますが、この日は「オレンジアワー」だったような感じです。富士山はやっぱり美しいですね。
温かい飲み物も気づけばシャーベットになるほど
そんな美しさに見とれながら、メンバーも寒さに耐えて富士を眺めていました。
今回は念のため寒さしのぎにテントも持参していたので、そこで少し暖を取りながら、またお茶を飲みながら撮影しました。この時の気温はマイナス10℃。ほぼ予想通りでした。風がほとんどなかったのがありがたいです。
今回は新兵器として360度カメラが私たちに加わりました。
文字通りぐるっと360度の画像を撮れるだけではない非常に心強いアイテムです。長めの自撮り棒を使うとドローン撮影のような映像を取ることができます。
山小屋応援カレンダーも山頂へ
撮影には、2021年向けに初めて製作した「山小屋応援カレンダー」も持参し、感謝の気持ちをお伝えしました。山小屋さんなしではまいたびのツアーも成り立ちません。コロナに立ち向かう気持ちは私たちも同じです。登山者が安全に歩けるように登山道をいつも整備してくれるのも、ほとんどが山小屋の関係者の方々です。感謝の気持ちを込めて売り上げの一部を登山道整備の費用に充てていただきます。ご購入いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
山頂で約1時間30分の撮影を終えた後は、少し先にある平尾山を目指しました。
富士山に向かうように尾根を歩いていきます。地面はカチコチに凍っていて、ざくざく音がします。石車に乗らないように慎重に下ります。そしてたどり着いた平尾山。標高は下げたものの、これまた見事な景色です。
すぐ下には山中湖を眺め、正面に堂々とした日本一の山。やはり富士山は夏より冬のほうが富士山らしいなと思わせる光景です。寒い思いをして来ただけの甲斐が十分ありました。
すぐ下には山中湖を眺め、正面に堂々とした日本一の山。やはり富士山は夏より冬のほうが富士山らしいなと思わせる光景です。寒い思いをして来ただけの甲斐が十分ありました。
太陽の暖かさを感じながら足取りも軽く下山。
まいたび YouTube動画にかける想い
1年前には、動画撮影で山に登ることなどまったく考えてもいませんでした。山に登りたくても登れない、でもそんな想定外のことが現実になっているのです。それと同時に、多くのお客さまから大変ありがたい励ましの言葉を多くいただきました。「まいたびさん大変だろうけど頑張って」、本当にうれしいお言葉です。電話越しで顔が見えなくても、お顔が浮かぶようでした。スタッフの顔が見えるまいたびの旅をこれから一層心がけていきたいと思います。【文と写真:渡辺+スタッフ一同の想いを添えて】
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『迎春2021石割山・新春寿ぐ日の出と富士山、女性登山ガイド添乗員と新しい一年のスタートを』