熊野古道伊勢路 伊勢神宮と熊野三山を結ぶ巡礼の道



1アサマリンドウ
アサマリンドウ

ツアー実施までの出来事・出会い
「熊野古道、伊勢路だけ歩いていないのよ。」
そんなお客さまのリクエストにお応えして考えた新コース。10年以上前に両夜行で実施していたこのコース。伊勢神宮外宮から熊野速玉大社まで170km。
全部歩きたいとの声もありましたが、通常10日〜11日を要します。世界遺産に登録されている箇所をピックアップして繋げ、企画しました。
21年6月発行のパンフレットに掲載後ありがたい事に満席となり、9月下旬下見に行きました。お彼岸と云うのに、異常な暑さで苦労した下見。2〜3時間に1本の紀勢本線を待ちながらお弁当を食べていると、地元のおばあさまが「よーけー食べれー。元気でるよー」とおはぎを5個もくださいました。お店で予約しておいたけど、ご近所から沢山頂いたからとの事。ありがたく頂きました。

2疲れた身体に甘いおはぎ。ごちそうさまでした
疲れた身体に甘いおはぎ。ごちそうさまでした。
 
滝原駅から瀧原宮へ向かう途中に沢山のバスやタクシー。側にいたドライバーさんに声をかけると事務所に案内してくれました。まだ9時前の突然のアポ無し訪問にも親切に対応して頂き、見積書まで作ってくれました。地元を良く知っている会社とご縁が出来て、ツアーをスムーズに行う事が出来ました。

晴天に恵まれた4日間
2021年11月24日(水)
晴天の名古屋駅。
滝原西村ハイヤーの専務取締役の西村さん自らハンドルを握ってのお迎え。
「何にもせんむーです」と笑わせながらも、「小林商店の前で乗せて下さい」
なんてお願いもピタリ!今回お客さまは16名。
社会人山岳会時代の先輩花岡さんと、まいたび山岳課の村山の3名でご案内。「歩く植物図鑑?」の花岡さんが同行してツアーのクオリティーがアップ!(頼らず説明できるよう日々修行中です)
伊勢神宮外宮を参拝し、各自昼食。伊勢路最初の峠である「女鬼峠」を目指します。
スタンプ台が設置されていますが、スマホでQRコードを読み取れば、自動でスタンプ帳が作成されます。伊勢神宮から約40km離れ「遥宮(とおのみや)」と言われている伊勢神宮の別宮、「瀧原宮(たきはらのみや)」へ。入口のオオモミジが見事なグラデーション。

3瀧原宮(たきはらのみや)
瀧原宮

趣きのある参道を進みます。
今日から2連泊でお世話になる「紀伊の松島」さんへ。
ご家族で経営されているお宿ですが、お食事の美味しさに定評があり、初日の夕食にはサービスで赤ヤガラを振る舞ってくれました。

4赤ヤガラ
「紀伊の松島」夕食 赤ヤガラ.

5新鮮な海の幸
「紀伊の松島」夕食 新鮮な海の幸

2021年11月25日(木)
朝食は焼き立ての手作りの干物を提供して下さり、お弁当を持って出発。
今日は狭い林道を行くのでマイクロバス。ドライバーさんも交代し、この後3日間は中井さんがご担当に。予定していた所より先まで入って頂き、行程に余裕が出来ました。
ツヅラト峠を越え、途中でバスに乗車。道の駅海山で昼食をとり、馬越峠へ。馬越峠からは、「清野が叫ぶ!」シリーズでも行った天狗倉山をピストン。

6天狗倉山
天狗倉山

天狗倉山への登山道は急で大変でしたが、この日まで数株に出会えただけのアサマリンドウがたくさんありました。アサマリンドウは伊勢神宮近くの朝熊山(あさまやま)で見つかりその名が付けられたとのこと。ちょっとスリルを味わって峠に戻り、尾鷲神社を目指して下り、その後バスで宿へ。
紀伊の松島さんはお風呂が小さいのですが、徒歩3分の所にトロトロの泉質の古里温泉があります。

2021年11月26日(金)
この日も快晴。
西国一最大の難所と言われる八鬼山越え、かつては山賊や狼が出没し巡礼者を苦しめたそうです。
バス停の上まで上がって貰えればと思っていたら、さらに奥までバスが入ってくれたので余裕を持って歩けました。九木峠から八鬼山荒神堂でひと休み。

7八鬼山山頂
八鬼山山頂

日本百低山の八鬼山。その先の桜の広場で昼食。下見時にはお天気が悪く見られなかった大展望!
尾鷲湾と頂山など、海と山が近い独特の景観を楽しみながら歩き、道中ではキッコウハグマ・アケボノソウなどのお花にも出会えました。

8アケボノソウ
アケボノソウ

三木里町海岸で一度バスに乗り、ヨコネ道〜三木峠。コミュニティバスのバス停で乗車し、ホテル尾鷲オーシャンビューへ。ホテルのすぐ近くにある飛鳥神社は必見。クスノキの大木や玉石の石垣など見事。

9飛鳥神社の楠
飛鳥神社の楠

2021年11月27日(土)
最終日も快晴!
名古屋駅に早めに付けるように朝弁当にして、7時スタート。宿から歩き始めます。
曽根次郎坂、太郎坂の途中には大岩が多く、眺めながら歩きます。

10鯨石
鯨石

甫母峠(ほぼとうげ)を超え、猪除けに築いた猪垣(ししがき)が見られるようになると里は近いです。

11猪垣(ししがき)
猪垣(ししがき)

おはぎを頂いた二木島駅近くでバスに乗り、最後の松本峠を目指します。

12松本峠に向かう石畳
松本峠に向かう石畳

展望台からは七里御浜を見る事が出来ます。

13七里御浜を遠望
七里御浜を遠望

遥か遠い伊勢から歩いてきた旅人が七里御浜の先の速玉大社に想いを馳せ見つめたであろう場所です。
下山後はバスで世界遺産登録されている、獅子岩へ。

14獅子岩
獅子岩

そして同じく世界遺産の花の窟神社へ。御神体が岩という珍しい神社です。
速玉大社で参拝し、三重県立熊野古道センターに隣接する熊野夢古道の湯へ。珍しい海洋深層水のお風呂です。

遅くならないか心配していた名古屋駅にも19時前に到着し、解散しました。伊勢路は美味しい料理とアットホームなおもてなしでお宿も大好評!
パート2を作ってとのお声を頂き、今年3月発行のパンフレットで熊野古道伊勢路パート2&頂山と猪鼻水平道(日本の歩きたくなる道500選)募集予定です。
皆様のご参加をお待ちしています。


<写真・文 上野 ひろみ>
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人

<写真:村山 朝葉>
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1