雪に悪戦苦闘した「山梨百名山」


①天空の鐘、杓子山
天空の鐘 杓子山

ここ数年3月末に実施していたこちらのツアーでしたが今年は2月末の設定に。
ところが、2月10日(木)に南岸低気圧の通過に伴い、山中湖周辺で40㎝を超える積雪を観測。その後2月13日(日)にも降雪がありました。そこで、登山道の状況を確認しておこうと2月17日(木)に下見へ。大月駅で富士急行線に乗り換えると、線路脇にもかなりの量の雪。
「これは、思っていたより雪が残っているかな?」と認識の甘さに後悔するものの後の祭り。忍野村役場前でバスを降りてスタート。鳥居地峠へ続く道は除雪されているものの、両脇に除雪された雪が積まれ、乗用車は行けてもバスは行けそうにありません。

②林道にも雪はたっぷり
林道にも雪はたっぷり

鳥居地峠からトレースを追って高座山を目指します。深い雪の林道からカヤトの原の尾根は、南面で所々土も出ていました。20cmはあろうかと思われる霜柱が溶けて、山頂直下の急登は滑りやすく、ここでアイゼンを付けました。ここは雪が欲しいと思うような難路となっていました。

③振り向けば、富士山
振り向けば富士山

北面は急に積雪量が増えましたが、杓子山まではしっかりトレースがあり順調に歩を進めたものの、杓子山を越えると様子が一変。お二方がラッセルしたと思われる、ひざ下まで潜るトレース。長身の男性なのか間隔が広く苦労して進みます。鹿留山へはトレースが無く、時間は既に15時。雪が無ければ往復20分。ここまで先行されたお二方と思われるトレースを利用させて貰ったのに、通常より時間がかかり鹿留山はあきらめる事に。

④ワカンを持たずに来た事を後悔
ワカンを持たずに来たことを後悔

ここからトラロープがかかる岩場を数か所超えます。一部のトラロープは雪の中。ツアー時の事を考えて、トラロープを掘り出しながら進みます。

⑤岩と雪
雪と岩

立ノ塚(たちんずか)峠からは林道ですが、ここも雪はたっぷり。ようやく通常バスが待っている舗装路に出ました。しかし、除雪されているもののバリバリに凍っていました。
「これでは登り下りとも余分に歩くことになりそう。今週末も雪予報。コースを変更?入浴はカット?」等々、あれこれ考えながら夕暮れの内野のバス停にたどり着きました。そして、富士山駅に戻るバスの少なさにがっくり。下山すればバスが待っていてくれるツアーのありがたさを実感!

⑥夕暮れ近い富士山
夕暮れ近い富士山

2022年2月22日(火)晴れ【ツアー当日】
「上野さん、この間友達が杓子山へ行ったけど、予定通り歩けなくて大変だったって言っていたわ」
後日同じく山梨百名山の貫ヶ岳山頂でお客様から声を掛けられました。
そうなのです、鹿留山へは下見時と同じくトレースが無く、ピストンはあきらめました。
前日、麓の「道の駅 富士吉田」に電話すると、2月19日(土)から20日(日)にかけて雪は降ったものの雨の時間が長かったとの事。実際積雪量はぐっと減っていました。
林道歩きで時間を取ってしまう事、杓子山からの雪の状況など不安要素もありましたが、入浴をあきらめても予定通り歩きたいとの声を頂き、縦走を目指して出発。今回は、万が一を考えてワカンを持って行きましたが使用せずに歩けました。(添乗員の水村さんにもワカンを持って来て貰いました。余計な荷物背負わせてしまいました。ありがとう)
ふれあいホール近くからスタート。林道の融雪は進んでいましたが、一部凍結しており約20分歩いて鳥居地峠へ。登山口手前でアイゼンを装着。こうなると心配なのは高座山手前の急坂。

⑦待ち受ける?泥の急登
待ち受ける?泥の急登

予想通り、霜柱と雪解けでドロドロ。アイゼン利かせ、ストックを活用しクリア。
(スノーシュー用のストックを用意して、普段使わないお客様にも特別レンタルしました)
お客様からは、「アイゼンのこんな使い方があるのね」と一言。昔はロープがあったのですが現在は無くなり、手掛かりとなるような樹木も無いのでちょっと(ちょっとでは無いかも)苦労しました。
万が一、杓子山から先に進めない場合、戻る事も考え(ここは下りたくありませんが)長めのロープも用意しました。

⑧ここは雪が欲しい!
ここは雪が欲しい!

高座山から鉄塔を越えて大権首(おおざす)峠へ。少し岩場もあるので、アイゼンを履いての通過は慎重に。大権首峠は風もなく休憩適地。先を考え短めですがランチタイム。

⑨鉄塔を見上げる
鉄塔を見上げる

ここから杓子山まではひと頑張り。平日とあって山頂はまいたびの貸し切り状態。心配していた杓子山から先も問題なく進めそうで一安心。富士山の山頂に雲がかかり残念でしたが、360度の展望を楽しみました。

⑩杓子山からの富士山
杓子山からの富士山

途中、キックステップで足場を固める箇所はありましたが、順調に子(ね)の神へ。岩場にはトラロープがかかっていますが、アイゼンを履いての岩場の下りは通常時より注意が必要ですのでゆっくり下ります。途中の展望地からようやく雲の取れた富士山を眺める事が出来ました。

⑪展望地から富士山
展望地からの富士山

バスは道路が凍結していて通常の待機場所までは上がれず、入浴はあきらめる事になりました。
(入浴代は返金させていただきました)
日中は暑いくらいでしたが、バスにたどり着くと溶けた雪で濡れたアイゼンバンドが凍り付き、外すのに苦労しました。(使い込んでバンドの防水が効いてないため)

今年は雪が多く、またその雪が溶けて高座山の手前では苦労しましたが展望は抜群!雄大な富士山を眺めることのできた、好展望の山旅でした。


<写真・文 上野ひろみ>
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人