筑北三山~聖山・冠着山・四阿屋山
1ラショウモンカズラ
ラショウモンカズラ

2022年5月12日
曇天の新宿駅を信州へ。数日前の天気予報は両日とも雨マーク。
事前の電話で「晴れれば北アルプスの展望が素晴らしいのに、雨予報だね」と、ツアー開始時からご案内している倉田ガイド。しかし、今日は大丈夫のようです。途中からは青空が広がります。
山の説明をすることは無いだろうと思っていたと前置きしながら、ニセアカシアやフジの花が咲く関越道から見える山々の説明が続きます。過去のツアーのエピソードを交えながら、時折絶妙な笑いを誘うトークに感心。大先輩との添乗は勉強になります。

今日は2座に登ります。一座目は、一等三角点の展望台の山「聖山(1447m)」。初見ではたどり着くのが困難な別荘地の道路を辿り、聖峠近くの登山口へ。ニリンソウ・タチツボスミレ・ムラサキケマン・クルマムグラ・クリンユキフデ・ワチガイソウなどたくさんの花がお出迎え。40分弱で山頂へ。四方に展望図があります。まさに360度。北アルプス方面は山頂付近に雲がかかってしまいましたが、戸隠・飯縄・浅間山はばっちり。ここでランチ。往路を戻ります。聖湖の湖岸は八重桜が満開。

2聖山一等三角点
聖山一等三角点
3シロバナエンレイソウ
シロバナエンレイソウ

二座目は、冠着山(かむりきやま)1252mで別名「姥捨山」。鳥居平登山口からスタート。登山道は整備され、チシマアマナ・イカリソウ・ヒトリシズカ・ホタルカズラ・オドリコソウ・ラショウモンカズラ等々。初めて見る花もあり、信州の里山を楽しみました。
山頂の説明書きには、「我が心 慰めかねつ更科や 姥捨山に照る月をみて」と平安時代の和歌集「古今和歌集」によまれた姨捨山とは冠着山をさす。と書いてありました。「更科や姥捨山の月ぞこれ」高岡虚子の石碑もあり、山頂からは善光寺平と千曲川。棚田も見る事が出来ます。

4ホタルカズラ
ホタルカズラ
5オドリコソウ
オドリコソウ
6マルバコンロンソウ
マルバコンロンソウ
7善光寺平と千曲川
善光寺平と千曲川

 今日のお宿は、西条温泉とくら。源泉は1000年以上前から湧き出ているという「千年の湯」食べきれないほどお料理が並び、ちょっと食べすぎてしまいました。冬に増えた体重を落としたいと思っているのに…天気予報はさらに良くなり、雨は夜半に降り午前中は何とか持ちそうです。
8西条温泉とくら千年の湯
西条温泉とくら千年の湯

5月13日(金)
宿から見える山並みは上の方はガスの中。それでも雨を覚悟していたので、「雨で無くて良かったですね」と朝の挨拶。今日は、四阿屋山へ。百名山の四阿山と同じ読み方ですが、麓では治水の神として崇められています。刈谷沢登山口からスタート。
図鑑でしか見たことが無いヤマウツボや昨日も見かけたイカリソウにも出会いました。

9初めて出会ったヤマウツボ
ヤマウツボ
10昨夜の雨粒が光るイカリソウ
イカリソウ

山頂手前の展望台は晴れていれば北アルプスが見えるそうです。三等三角点の山頂は、村指定天然記念物のブナの原生林が拡がり、山頂には四阿屋神社。

11ブナの原生林
ブナの原生林

下りは漸々沢コースへ縦走。山頂直下の急な石段に気を付けて下ります。
12一の鳥居と祠
鳥居と祠

室沢(麻績)コースを分け、少し急な下りをゆっくり降りて大きな杉の木の登山口へ。直売所まんだらの庄まで歩きました。午後には売り切れてしまう心配があるので、山菜など先に買い物をして、目の前の冠着荘で入浴。「そば処さかい」で昼食。天ぷら蕎麦は、二八蕎麦でそば粉は筑北村産。食事を終えて外に出ると、「あれ、雨?」パラパラと降り始めました。一路新宿へ。
新宿は大雨かなと心配していましたが、途中のSAも傘が無くても何とか歩ける程度の小雨。さすがに神奈川の西側に住む私は、最後に雨具を着て自転車で帰宅。山で降られず、予想以上の花に出会えた素敵な山でした。
お客様からは、4年に一度なんて言わないで季節を変えてツアーをやったら!とうれしいご意見を頂きました。

【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人