登山コラム《山記者小野博宣の目》
日帰りツアー「毎月高尾山」レポート(2022年6月)

DSC_4334 ホタルブクロ
ホタルブクロ

DSC_4339 ギンリョウソウ
ギンリョウソウ

 猛暑日となった2022年6月28日。
午前10時前、京王線高尾山口駅の改札前に10人の男女が集まった。
まいたび(毎日新聞旅行)のハイキングツアー「毎月高尾山」の参加者だ。
リーダーの太田昭彦・山岳ガイドが「まだ6月ですが、今日は8月の高尾山と思ってください」と語りかけた。
「登山は良い運動ですが、熱中症にかかりやすい」「くれぐれも熱中症に注意してください」と呼びかけた。
行程を短くし、往復ケーブルカーを利用することなどを付け加えた。参加者も安どの表情だ。

 また「都心の気温は35度ですが、高尾山の山頂は30度です。30分に1度は休憩しますので、しっかり水分補給をお願いします」と注意喚起を繰り返した。
さらに「夏山対策で重要なのは高度順応と熱所順応です」「夏に向けて暑さに慣れる。今日は熱所順応第一弾です」と語り、「さぁ出発しましょう」と告げた。
駅舎内の日陰から、日なたのアスファルト道へ。
ムッとした暑さが全身を包み込んだ。

 高尾山ケーブルカーの清滝駅から山頂駅まではわずか6分だ。

DSC_4455 ケーブルカー-min
ケーブルカー

駅近くの斜面に、ツチアケビと思われる背の高い植物がたたずんでいた。
季節外れのため、枯れたような茶色をしていた。真っ赤な実をつける秋が楽しみだ。
野鳥の声が耳に届く。
太田さんは日陰で足を止めて、「1号路を登ると、ホオジロの声が聞こえます」と語り、スマホを取り出した。スマホから「ピーピピピピピッ ピッヒョヒョ」と野鳥の声が響いた。
ホオジロのさえずりだ。「ホオジロは大体16cmくらい。留鳥(とめどり)です。ずっと同じ場所にいます」と解説した。
鳥の鳴き声を覚えやすくするために、鳴き声を人の言葉に当てはめる「聞きなし」という記憶法がある。
太田さんは、ホオジロの聞きなしを「一筆啓上仕候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」「札幌ラーメン 味噌ラーメン」と教えてくれた。
参加者からは笑い声が広がった。

 浄心門前から4号路へ。

DSC_4269 4号路

4号路

高尾山唯一のつり橋が見どころだ。
整備された公園と違い、木の根がむき出しになっているところや、滑落の危険がある場所を歩き続ける。
太田ガイドは「根っこが出ています。気をつけて」「すれ違う時は山側に身を寄せて」と声をかけた。さらに山道での歩き方を繰り返した。
「この道では大股で歩かない。大股で歩くとスリップします」「足の裏全体で踏んでください」「太ももの力で足を上げてください」「段差のある所はドスンと下りない。静かな着地を心がけてください」と繰り返した。

 1時間後、山頂に到達した。

DSC_4328高尾山山頂
高尾山山頂

「暑さのせいか、人出が少ないですね」と太田さん。ここで30分の昼休憩となった。
帰路は3号路をたどる。日陰の登山道で、太田さんは登山地図のコピーを参加者に配った。

DSC_4358 地図読み
地図読み

等高線から谷と尾根の読み取り方を教えてくれた。
登山地図と実際の地形を比較し、「尾根と谷があるのが分かりますね。今いるここは尾根です。向こうは谷です」と実践的な解説だ。
「(地図上の)等高線の間隔が狭いと斜面は急になります。地図を見ると急斜面なのか、ゆるい斜面なのかもわかります」と話した。
「来月の『毎月高尾山』は、地図読みの練習をします。コンパスを持ってきてください。楽しく学びましょう」と予告した。一行は3号路を経てケーブルカーで下山した。午後2時過ぎに、高尾山口駅に戻ってきた。体操で体をほぐし、「それでは来月もお会いしましょう」と参加者を見送った。次回は7月13日の予定だ。
テーマは「やや標高の高い城山に登り、地図と方位磁石の使い方を学ぶ」となっている。

●筆者プロフィール●
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。
2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。
毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長