2年の忍耐で達成感もひとしお!幌尻岳登頂

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言などにより自粛を余儀なくされ、主要コースから登ることが叶わなかった山が存在します。今回お伝えする幌尻岳もその1つ。  今夏、2年振りに再開された平取町側から挑んだ幌尻岳のツアーレポートです。
1.水面に日が射す額平川
             水面に日が射す額平川

数ある日本百名山の登山道の中でも幌尻岳の額平川コースは特異な存在。それは、沢の増水によって停滞撤退の恐れがあり、平常時でも渡渉(沢を渡ること)しなくては幌尻山荘とその先に辿り着けないからです。
6月下旬、現地に降り続いた雨の影響で、シャトルバスの運休が続いた直後の入山。沢の水位はどうか?山中の天候は?出発前の不安・緊張は、引率者だけでなく、ご参加の皆さんも感じられていたことでしょう。
2.不安を癒すお宿の食事と温泉
             不安を癒すお宿の食事と温泉

登山初日は2時間半の林道歩きと核心の額平川の渡渉。道中の山野草や滝に癒しをもらいつつ、省エネに努めて歩を進めます。
3.第二ゲートから出発
                第二ゲートから出発

林道を歩き終えると、身支度・防水対策を整えて、いよいよ入渓。雪解けや雨で水位の多い傾向にある7月初旬にあって、幸い水位は落ちついていて、深いところで膝上程度。渡渉はトドマツで作ったガイド自作のお助け棒を手掛かりにしてもらい、安全に進みます。
4.渡渉風景
                 渡渉風景

本コース一番の難所・四ノ沢出合は両岸が狭まり流れが急ですが、数日前に山岳会の方々が橋を架けて下さいました!
5.四ノ沢に架かる橋
                四ノ沢に架かる橋

十数回の渡渉やへつり(沢の岸壁を横切ること)を乗り越えて、皆さん無事幌尻山荘に到着です。徐々に慣れてきて、沢登りの楽しさを感じてもらえたでしょうか。
6.幌尻山荘・外観
                幌尻山荘・外観
22年から幌尻山荘の管理体制やトイレ事情に変更が生じています。今夏、幌尻岳を目指す方に向けて、変更点をまとめておきます。(※7月14日時点の情報です。)

●定員25名の予約制
●寝具のレンタル
シュラフ・毛布の有料レンタル、マットの無料レンタル
●小屋内へのザック持ち込み不可
内部の限られたスペースを活用するため。ザックは軒下収納へ
●携帯トイレ
簡易トイレはシャトルバス終点の第二ゲートのみ。携帯トイレブースが取水ダムと幌尻山荘に、回収ブースも同2箇所に設置されています。ペーパーは登山者各自持参が基本となります。
※幌尻山荘にはバイオトイレも設置されていますが、発電機の調子次第で利用できないことがあります。利用時は有料1泊500円
7.レンタルシュラフ・毛布・マット
             レンタルシュラフ・毛布・マット

8.山荘の軒下収納
               山荘の軒下収納
   
9.山荘のトイレ(左が簡易トイレブース、右がバイオトイレ)
        山荘のトイレ(左が携帯トイレブース、右がバイオトイレ)
   
10.取水ダムに設置された携帯トイレブース
           取水ダムに設置された携帯トイレブース

11.携帯トイレはシャトルバスで購入可
            携帯トイレはシャトルバスで購入可

アルファ米中心の献立ですが、北海道の美味しいものも、という訳で鍋や食材を荷上げし、夕食時ジンギスカンを振る舞いました。登頂に向けて皆さんの活力に少しでも役立っていたら嬉しいですね。
12.ジンギスカンを振舞う
               ジンギスカンを振舞う

翌日は5時発ち、日高山脈の最高峰・幌尻岳山頂へ。コース唯一の水場・命の水上部までは急登が続きますが、ナナカマドの花が一斉に咲いていて感嘆の声が挙がっていました。
13.ナナカマドの花
                ナナカマドの花

稜線はあいにくの曇天だったものの、エゾノハクサンイチゲ、ミヤマアズマギク、エゾツガザクラ、チングルマの競演が見事!お花畑を愛でつつゆっくり山頂を目指します。
14.エゾノハクサンイチゲとツガザクラ
            エゾノハクサンイチゲとツガザクラ
   
15.ミヤマアズマギクの群生
              ミヤマアズマギクの群生

雲のすき間から進んできた北カール上部の尾根も姿を現してくれました。2年越しの願いであった幌尻岳山頂に到着です。
16.2年越しの山頂!
                2年越しの山頂!

17.北カール上部の尾根にて
              北カール上部の尾根にて

早朝に沢を下る最終日。当日朝は気温が低く少し心配でしたが、徐々に気温も上がり、皆で沢を楽しんで下ることができました。古来、深い森に囲まれた山は沢伝いに活路を見出し、山頂を目指しました。それが日本独自の沢登りに発展したと言われています。日本百名山にもこんなスタイルで山頂を目指す山があって良い。皆さんの笑顔や達成感に接し、そう感じました。
18.四ノ沢で引率者も記念撮影
             四ノ沢で引率者も記念撮影

今回は、平取町の幌尻岳登山を支えるバス会社・山岳会の方々、幌尻山荘の若き小屋番の方々、自然条件等が重なり、無事に登ることができました。この場を借りて感謝申し上げます。同ツアーはこの夏まだまだ続きます!引き続きお世話になります。

【写真・文 / 宮本 勝規】
※花と食事風景の写真:豊岡由美子