礼文島・礼文岳と花の楽園南北縦走トレック   ~花の浮島~

1レブンアツモリソウ
レブンアツモリソウ

 「礼文島」は、アイヌ語の「レプン・シリ」=沖の・島という意味から来ているそうです。礼文島は春から夏にかけて約300種類の花が咲き乱れ、本州では高山でしか見られない高山植物が海抜0メートルからみられます。2016年、南北縦走トレッキングコースを添乗しました。香深井(かふかい)林道から宇遠内(うえんない)を経由してレブンアツモリソウの群生地まで歩く礼文島西海岸を南北に縦断するコースは、花の種類の多さと草原やササ原、トドマツ林、ダケカンバ林、ハイマツ帯、海食崖直下の海岸線などを歩く非常に変化に富んだ素敵なトレイルです。
「上野さん、おすすめのコースは?」と聞かれると、「ハードな山を先に登ったら、礼文島を南北に歩くコースは良いですよ。」とお伝えしてきました。今回、従来のコースに「しま山100選」に選ばれている「礼文岳(490m)」に登るコースを会社へ提案し、再び添乗の機会を頂きました。
 礼文岳は、日本一低い高山帯を楽しめる山と言われています。礼文島は、熊・蛇がいないので安心です。そして、火山の島「利尻島」は、海底が盛り上がった「礼文島」と隣り合った島ですが、成り立ちが違います。そんな礼文島の魅力的なコースのほとんどを網羅した欲張りツアーです。

2雲の上にそびえる利尻岳
雲上の利尻岳

2022年6月5日(日)
出発前の予報は4日間曇り、雨が降らなければ良いか…
飛行機から雲に浮かぶ、まだ雪が残る利尻山を見る事が出来たものの、稚内空港に降下を開始すると雲の中。そして寒い…気温は8度。風も強く冬に逆戻り。空港から予約していたタクシーで稚内港へ。少し時間があったので、運転手さんにお願いし、北防波堤ドームや今年5月に除幕式を終えたばかりの大鵬幸喜上陸記念碑等を見学しました。
3稚内港北防波堤ドーム
北防波堤ドーム

フェリーで礼文島香深(かふか)港へ。今日から3連泊でお世話になる船泊(ふなどまり)のお宿の車に乗り込みます。残念ながら利尻山は裾野しか見えません。明日に期待して、カニやボタンエビ、ウニ等海の幸を楽しみました。

2022年6月6日(月)
2日目は、朝少し雲があったものの、快晴となりました。今日は、香深林道から西上泊(にしうえどまり)へ。スタートするとノビネチドリ・アイヌタチツボスミレ・オオタネツケバナ・ハマハタザオ等々。次々に現れる花にカメラを向けるので、ガイドさんの説明を聞き逃した花もあり、わからなかった花も含め、ここで一部を紹介します。

4ノビネチドリ
ノビネチドリ

5アイヌタチツボスミレ(白花)
アイヌタチツボスミレ

6エゾイヌナズナ
エゾイヌナズナ

7オオバナノエンレイソウ
オオバナノエンレイソウ

8サクラソウモドキ
サクラソウモドキ

9エゾノハクサンイチゲ
エゾノハクサンイチゲ

10チシマキンレイカ(別名:タカネオミナエシ)
チシマキンレイカ

ダケカンバの森を抜け、峠を越えると荒涼とした風景にかわります。そして海岸線に降り立つ変化の多いルートです。宇遠内には、バイオトイレがあります。ここからアナマ岩までが岩がゴロゴロした道になり、少し歩きにくいので、注意しながらゆっくり歩きます。

11峠を越えると荒涼としたトレイル
荒涼としたトレイル

12歩きにくい岩を渡る海岸線
歩きにくい岩を渡る海岸線

13砂浜を歩く
砂浜を歩く

2016年に歩いたコースですが、一部ルートが変わっており岩場を下るより簡単に行けそうだったので、足場になるように海辺に石を投げ込み通過。(ご協力ありがとうございました)
ここから急登をひと頑張り。風が強くて大変でしたが、アナマ岩付近で発見されたことでこの名前となった、アナマスミレにも出会えました。ハクサンチドリのバックには海が…海と岩、そして花と青い空。
14海をバックにハクサンチドリ
海をバックにハクサンチドリ

ハイマツの中を進み、ダケカンバの森を下り車道に出ます。レブンアツモリソウの群生地まで歩き、かわいい花を見る事が出来ました。

2022年6月7日(火)
3日目は礼文岳へ。内路(ないろ)からスタート。標高差約500m。最初が急登ですが、すぐに緩やかになります。昨日とは違う花もたくさん…

15カラフトヒロハテンナンショウ?
カラフトヒロハテンナンショウ?

16エゾヒョウタンボク
エゾヒョウタンボク

下は晴れていたのですが、山頂部分はガスの中。利尻山の展望台なのですが、残念。にせ頂上のピークを越え、登り返せば一等三角点のある山頂。しかし、ここも強風。写真を撮って、往路を戻ります。

17礼文岳山頂の一等三角点
一等三角点のある礼文岳山頂

18海に向かって下る
海に向かって下ります

 ここから、鉄府(てっぷ)へ移動。ゴロタ浜からゴロタ岬へ。ここも強風に悩まされながらも、歩を進めるごとに変わりゆく景色を楽しみながら、スコトン岬まで歩きました。途中の車道にも昨日見かけた、レブンイワレンゲ(コモチレンゲ)が可愛い姿を見せてくれます。スコトン岬の先に見えるのはトド島。
19レブンイワレンゲ(コモチレンゲ)
レブンイワレンゲ

20ネムロシオガマ
ネムロシオガマ

21スコトン岬
スコトン岬
2022年6月8日(水)
 最終日は、帰路の飛行機の関係で早いフェリー。早起きして桃岩コースへ。レンジャーハウスからスタート。今日も風があり、寒い!
桃岩展望台を経てキンバイの谷へ。ここまで、風にせかされるようにして予定より早く歩いてきました。
22レブンコザクラ
レブンコザクラ

23気持ちの良いトレイル
気持ちの良いトレイル

24レブンキンバイソウ
レブンキンバイソウ

風が避けられたので、朝食タイム。強風に苦労したものの、そのおかげで素敵な景色に遭遇。
25流れる雲
流れる雲

26北のカナリヤパークから利尻山
北のカナリアパーク

元地灯台を経由して知床(礼文島南部にある地名)へ。北のカナリアパーク(吉永小百合さん主演の映画「北のカナリアたち」のロケ地)まで足を延ばしました。利尻山が裾野まできれいに見えました。フェリーターミナルでガイドさんとお別れし稚内へ。
飛行機の出発まで時間があったので、今回は稚内観光付き。ジャンボタクシーで宗谷岬へ。寒さに震えた身体には海鮮丼より暖かいものと、私はホタテラーメンをチョイス。ドライバーさんが、クロユリ群生地、ウインドファーム、ホワイトロード(ホタテの貝殻を敷き詰めた道)、北の桜守パーク(吉永小百合さん主演の映画「北の桜守」ロケセット)、メグマ湿原などを案内してくれました。
 強風と寒さに悩まされながらも、礼文島の固有種や北海道の花にたくさん出会えました。レブンウスユキソウの咲くときなど、季節を変えてまた歩きたい!そんな素敵な山旅でした。


【写真・文/上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1