大日三山縦走と称名滝
奥大日岳~中大日岳~大日岳

1剱岳
剱岳

2022年8月21日(日)1日目
新宿を出発したバスは室堂を目指します。
室堂へは夜行バスや新幹線で富山まで行き、そこからバスを使う等アプローチは様々。まいたびなら新宿でバスに乗車すれば乗り換えなしで、下山後のお風呂セットもそのままに登山がスタートできるなどメリットもありますが、長距離バス移動となります。さあ、車窓の景色を楽しみながら室堂へ!

立山黒部アルペンルートも終盤に近づくと雨がパラパラ。室堂ターミナル直前でざっと降ってきました。雨具を着けてスタートかと思いきや、到着するとなんと青空が広がり始め雨も止みました。標高2450mの室堂に到着し、立山玉殿(たまどの)の湧水前で集合。
この湧き水は、環境庁が選定した「全国名水百選」にも選ばれ、立山黒部アルペンルートの立山トンネル工事により湧き出したものです。美味しい水を汲んで出発。ここから雷鳥沢ヒュッテまで、お花を愛でながら舗装された遊歩道を小一時間歩きます。なんて素敵な所だろう。何度来てもそう思います。
そして雷鳥沢のテント場は最高!
テント泊なのに少し登れば温泉にも入ることができ(※)、生ビールも飲めます!
(※)ツアー当日時点では新型コロナウイルス対策で入浴は宿泊者限定。今回はテント泊の時に何度もお世話になった雷鳥沢ヒュッテ自体に宿泊。

2みくりが池  風もなく、穏やか
みくりが池

3雷鳥ヒュッテ
雷鳥沢ヒュッテ

2022年8月22日(月)2日目
この日は快晴。
日本山岳ガイド協会のフリークライミングインストラクター・信州登山案内人のガイド資格に加え、ヨガのインストラクター資格も持つ奥谷ガイドが、ゆったりした時間と朝の心地よい空気の中で準備体操を先導。もう一人の千葉ガイドは普段スイスでご活躍。コロナが収束して海外の山を歩ける日が待ち遠しいですね。

5オヤマリンドウ
オヤマリンドウ

チングルマの花穂が朝日に照らされて綺麗でした。
通常オヤマリンドウの花冠片は、直立程度に開き全開はしませんが、快晴の太陽にいつもより開いていました。雷鳥沢から稜線までひと頑張りすると、ご褒美は剱岳の雄姿。足元にはミヤマリンドウ・タテヤマウツボグサ・シモツケソウ等々。このまま快晴が続くと思いきや、残念ながら奥大日岳山頂に着く頃にガスが出てきてしまいました。

6奥大日岳
奥大日岳

7中大日岳
中大日岳

中大日岳の山頂は、雨天時などは見逃してしまいそうな山頂でした。大日小屋に着く頃に雨がパラパラ。ここで自由昼食。飲み物などを注文し小屋の中で食べさせていただけました。雨はほどなく止み、ここに荷物をデポして大日岳をピストン。

8大日岳
大日岳

大日平山荘までは沢沿いの急な下りが続きます。岩も濡れているので慎重に下りました。途中オオレイジンソウ・ミソガワソウなどが。山荘が見えてから意外と遠く感じましたが、イワショウブが咲く大日平湿原の木道に差し掛かるころには再び青空に。


9ミソガワソウ
ミソガワソウ

10再び青空!
大日平湿原の木道と青い空と白い雲

山荘に到着後、山荘から30秒の不動滝を見学。

11不動滝
不動滝

大日平山荘にはお風呂がありますが現在はシャワーのみ。それでも山の上でシャワーを浴びられるなんて幸せ。また、ホームページを拝見すると数日前の晴天時に布団を干してくださったようで布団はフカフカ。さらに、翌日歩く登山道の刈払いもしてくださった事を知り感謝です。

コロナ渦で人数を絞ったり消毒など対策を行いながら営業を続けていただける山小屋があるからこそ、安心して山を歩くことができます。しかし、通過する登山者の中にはトイレの協力金を支払わない人たちが一定数いるようです。山のトイレの維持管理はどこの山域でも大変だと思います。手元に小銭が無い場合やうっかりという事もあるかもしれませんが、使用後のペーパーの持ち帰り・小銭の用意など協力していきたいですね。
ツアー登山ではありえませんが、個人の方の場合無断キャンセルもあり、歩荷した貴重な食材を無駄にしてしまうこともあるそうです。

2022年8月23日(火)3日目
この日は下山後の入浴施設の営業時間の兼ね合いで朝食をいただいた後ゆっくり出発。
最後尾を歩くことになり、歩き始めてしばらくして大日平山荘の写真を撮ろうと振り向くと、木道をオコジョが横切りました。そして好奇心旺盛なオコジョは、こちらに向かって少し近づいてきました。湿原ではコバノトンボソウ・モウセンゴケ・ウメバチソウ・イワショウブなどに出会えました。

12オコジョ1
オコジョ

最初は木道を歩きますが、鎖のあるトラバースや急な下りも多くゆっくり慎重に。
ミヤマママコナ・タムシバの実・コキンレイカ・シラタマの実・バアソブ・テンニンソウ・クロバナヒキオコシなどが見られました。そして、ノコンギクが咲く舗装路に降り立ち称名滝(しょうみょうだき)へ。

14鎖のかかったトラバース
鎖のかかるトラバース

15バアソブ
バアソブ

16称名滝
称名滝

その後吉峰温泉に立ち寄り。汗を流し併設された食堂で自由昼食を取り、一路新宿へ。

急な下りも多く靴マーク3(登山中級)のコースですが靴マーク4(登山中級プラス)に近い印象もありながら、みなさんしっかり歩いていただき2泊3日の山旅も無事終了。大日平の湿原は秋もおすすめとの事。チャンスがあれば紅葉の時期にも歩いてみたいと思いました。

写真・文 上野ひろみ
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1