八海山・八ッ峰(大日岳)と入道岳
八海山のピーク群を完全登頂


1八ッ峰
八ッ峰

2022年10月2日(日)
「北アルプス・剱岳の岩場を問題なく通過できるレベルの方限定の難易度の高いコースです」とパンフレットに記載して募集した八海山。
今回は山岳ガイドの梁瀬さんとまいたびのトップクライマー奥谷さんのWガイドで、私自身久しぶりの八海山に挑みます。
「八海山」は中ノ岳(2085m)、越後駒ガ岳(2003m)とともに「越後三山」としてその名が知られ、古くは行者の修行や信仰の山として開山されました。
険しい岩峰が連なる八ツ峰を高速道路からも見る事ができます。

今回宿泊する千本檜小屋の水場は状態が悪く、雨水を利用しています。
そのため小屋まで頑張って二日分の水を汲んでから向かいます。
ベースキャンプ入口にある「八海山の冷水」は、夏でも8度と冷たくておいしい湧き水で、硬度は7の超軟水。
体にやさしいので、そのまま飲んでも料理に使ってもおすすめです!との事。
小屋ではペットボトルの水や、雨水を沸かしたお湯も購入できます。

山麓駅の駐車場では、「おにぎり&きのこ汁まつり」が開催中ということもありここで昼食。前日から魚沼産コシヒカリの新米が使われ始めたばかりのおにぎりを堪能します。

標高376mの山麓駅から1147mの山頂駅(4合目)まで、標高差771mを約7分の空中散歩。巻機山・苗場山・妙高山・火打山を眺めながらあっという間に山頂駅へ。例年この時期は紅葉の見ごろですが、今年は暖かく遅れているそうです。
でも、歩き始めるとツルリンドウ・オオバユキザサ・コケモモの実やクロバナヒキオコシ・ハンカイシオガマ・アカモノの花も少しだけありました。

2クロバナヒキオコシ
クロバナヒキオコシ

10月だというのに下界も30度近く上がる予報。最初は樹林帯ですが登りは暑い!でも時折吹く風は秋風。1時間ほど登ると女人堂。女人堂の横には八海山大神の石碑があります。昔は女人禁制で、女性はここまで。そのためここで遙拝していたそうです。

ここから薬師岳までは長い鎖がかかる岩場があり、傾斜が緩く足場もあるので鎖に頼らず登れますが急登が続きます。薬師岳山頂は八海山の8合目、猿田彦の像が立っています。
この後の安全登山を祈願します。目の前には千本檜小屋と地蔵岳。

3薬師岳山頂
薬師岳山頂

4千本檜小屋と地蔵岳
千本檜小屋と地蔵岳

小屋に不要な荷物を置かせていただき、ヘルメットをかぶりスタッフはハーネスを付けスタート。この日は八ッ峰の前半部、地蔵岳~釈迦岳まで。八海山ロープウェーのパンフレットによれば、八ッ峰縦走コースの鎖場は19ケ所。看板に書かれている通り落ちたら助かりません。

5注意を促す看板
注意を促す看板

6不動岳山頂の不動明王
不動岳山頂の不動明王

三つ目の岩峰は、七曜岳(しちようだけ)ですが、石碑には別名の「五大岳」と刻まれています。
鎖の登下降は順番待ちとなりますが、今日は風もなく穏やかなので注意しながらも周りの景色を楽しむ事ができました。越後駒ガ岳と中ノ岳の間に、鋭く尖った荒沢岳の山頂が頭をのぞかせていました。

7奥谷ガイドが見守る中、白河岳へ
奥谷ガイドが見守る中、白河岳へ

8釈迦岳へ
釈迦岳

釈迦岳山頂には「白川岳」の標柱が建っている上、手前のピークの山名が同名の「白河岳」とちょっとわかりにくい石碑です。標高が高くなり、ナナカマドやミネカエデの赤がきれいです。釈迦岳を下りた鞍部に迂回路があります。迂回路とはいえ気の抜けない細いトラバース道や鎖のかかる岩場もあります。

9明日登る摩利支岳
明日登る摩利支岳

その後小屋まで戻り、カレーの夕飯をいただきました。(残念ながらおかわりは出来ません)
夜は星と六日町の夜景もきれいでした。

2022年10月3日(月)
朝食前に日の出を見ようと外に出ると、雲がおひさまに照らされ素敵。今日は雲が多いですが展望はばっちり。

10朝焼け
 朝焼け

朝食をいただきスタート。昨日歩いた迂回路を辿り、月ノ池・日ノ池の横を通り摩利支岳へ。

11イワショウブも秋バージョン
イワショウブも秋バージョン

12日ノ池
日ノ池

今回のコースの登りの難所は、垂直の梯子から鎖を頼って登る大日岳手前の岩場です。ガイドがセルフビレイを取ってフォロー。

13梯子から鎖の難所
梯子から鎖の難所

14大日岳山頂の八海山大神と中ノ岳
大日岳山頂の八海山大神と中ノ岳

大日岳からの下りも長い鎖。その先も足場の少ない鎖のかかった岩場の鎖が待ち受けます。皆さん慎重に通過。

15入道岳へ向かう
入道岳へ向かう

16コケもイワカガミの葉も秋の装い
コケも秋の装い

入道岳へ向かう道も一部崩れた箇所がありました。迂回路の分岐からひと登り、八海山の最高峰・入道岳に到着です。入道岳の別名「丸ヶ岳」の標石があります。
守門岳・浅草岳・越後駒ケ岳・荒沢岳・中ノ岳・燧ヶ岳・平ヶ岳・至仏山・上州武尊山・谷川・志賀の山々・・・360度の展望を楽しみました。
そして、ここで日本三百名山(301座)達成のお客様が‼
日本百名山達成の場面には何度も立ち会わせて頂きましたが、日本三百名山は初めてです。皆さんで拍手!

17辿ってきた八ッ峰を振り返る
辿ってきた八ッ峰を振り返る

分岐まで戻り迂回路へ。ここからも長い梯子を下ります。梯子の間にある石を落さぬように注意、気の抜けない道が続きます。

18長い梯子が続く
長い梯子が続く

19迂回路も鎖のトラバースと下降
迂回路も鎖のトラバースや下降

千本檜小屋で荷物を受け取り往路を戻りました。

20クルバマハグマ
クルバマハグマ

皆さん、しっかり歩いていただき予定より早いロープウェーに乗車。希望者は山麓駅できのこそばやうどんなどを食べた後、温泉へ。汗を流し、千本檜小屋の小屋番さんお薦めの地酒をお土産にして新宿へ戻りました。
過去一度だけ2日目に雨のため後半部をあきらめて下山となったことがありましたが、今回はお天気が味方し、乾いた岩場を歩くことができました。


【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人