上野ひろみと行く! 古座街道(熊野中道)を歩く
キイジョウロウホトトギスと大門坂~那智の滝・ひき岩群
キイジョウロウホトトギス
2021年12月、熊野南紀ジオパークや熊野古道紀伊路を訪ねる「忘年ハイクin紀伊半島」に添乗する機会に恵まれました。
下調べをする中で紀伊半島の固有種、キイジョウロウホトトギスを知りました。
現地のガイドさんとご一緒に昼食を食べているときにそのお話をすると、大きく引き伸ばした写真を見せていただきました。その後、虫喰岩で花の写真をお客様にも見せていただきました。
「わー見てみたい」との声。
そして「上野さん、このお花を見るだけでもツアーができるわよ」といったお客様のアドバイスもあって誕生したこのコース。
ツアー募集のパンフレットに以下の説明文を掲載しました。
「山里の貴婦人」とも呼ばれる「キイジョウロウホトトギス」は、かつては古座川流域をはじめ熊野の山中にたくさん自生していましたが、乱獲などにより激減し、現在では環境庁の「レッドデータブック」で絶滅危惧種に指定されています。そんな「キイジョウロウホトトギス」が地元の方の努力で増え、毎年9月下旬から10月中旬にはつややかな黄色い花を咲かせています。
「キイ」は「紀伊半島」の「紀伊」、「ジョウロウ」は「上臈」=宮中に仕える位の高い女官のことで、気品のあるその姿からこう名づけられています。
2022年10月15日(土)晴れ
早朝の羽田空港から南紀白浜空港へ。
一枚岩の前での開花は事前に電話確認。お花を見るコースはうまく時期が合うかドキドキですが、安心して出発。ネットを検索して入手した絵地図に桜井さん宅のオープンガーデンの情報が載っていました。もしかしたらみられるかもと立ち寄ったらこんな山奥に素敵なカフェとお庭。
「もうここで充分」と声が聞かれるほど、たくさんのキイジョウロウホトトギスを見ることができました。陽にあたると葉が焼けて茶色くなってしまうそうで、植える場所や日陰を作るなど工夫されているとのこと。
東京から見に来た私たちを歓迎してくださり、いろいろとお話を伺うことができました。キイジョウロウホトトギスの他にもホテイアオイの花も咲いていました。予定を変更して外のベンチとテーブルをお借りして自由昼食。
「おいしいよ」と薦められた栗をお土産に購入し、ザックにいれて古座街道へ。コロナ渦もあってさらに歩く人が少なくなってしまった街道は荒れ気味。道の脇には、はちみつを採るための巣箱がたくさん置いてありました。
三角点を過ぎ、三体仏・水源地蔵などを見ながらゆっくりと進みます。福井集落を下る沢状の道は少しルートファインディングが必要です。石畳は苔に覆われ滑りやすいのでゆっくり慎重に。松の前の駐車場でバスに乗車。天柱岩は道路からパチリ。
道の駅 一枚岩へ移動。古座川一枚岩は、幅500m高さ100m。熊野カルデラの南の縁に沿ってできた弧状の火成岩脈で出来た巨大な岩壁。道路を横断した脇の斜面に自生地があります。キイジョウロウホトトギスが咲いていました。ヤブマメやバアソブも見ることができました。しばしお花を楽しんだ後は、今日のお宿へ。少し手前の牡丹岩で下車し、見学後歩いて数分の漆が淵へ。
宿に戻り、温泉と天然アユの塩焼きやお刺身を堪能しました。
2022年10月16日(日)晴れ
この日の朝食は目の前の窯で炊き上げた白米、アユの干物など美味しいごはんをいただき出発。
今日は道の駅一枚岩からスタート。イワタバコやアケビ、カラスウリを見つけたりしながら歩きます。道路に出ると自転車レースを開催中で、町の人も旗を持って応援。私たちも応援しながら歩きます。
コースから少し外れて無人販売所に立ち寄ったりしながら、のんびりと。途中でバスでに乗車し「みんなの店」へ。沈下橋と三山冠へ歩いて往復。
潜水橋と三山冠
熊野南紀ジオパークの滝の拝へ。自転車レースのエイドにもなっていた道の駅 瀧之拝太郎へ。ここから徒歩で滝の拝を見学。
「道の駅なち」へバスで移動。ここで自由昼食(時間が遅くなり、お弁当が売り切れで小さな食堂であわただしい昼食となってしまいました。参加してくださったみなさま、ごめんなさい)。
その後、浜の宮王子と補陀洛山寺を見学。ここには、佐本深谷から贈られたキイジョウロウホトトギスが大事に育てられていました。大門坂から熊野那智大社・那智山青岸渡寺へ。石畳と石段を歩き那智大瀧・飛龍神社へ。
この日のお宿は那智勝浦。前日とは違う温泉と海の幸を楽しみました。
2022年10月17日(月)小雨のち曇り時々雨
ここまでお天気には恵まれた2日間でしたが、最終日は朝から雨。今回のツアーはホテルで朝食を食べずに勝浦漁港へ。今年の6月から始まった生マグロの競りの見学とにぎわい市場での朝食ツアー。ご主人が漁師さんというスタッフからイヤホンマイク越しに競りの様子やマグロの種類、漁の仕方まで教えていただきました。
そしてお待ちかね生マグロ三種食べ比べの朝食。ワサビだけでなく一味で食べるなど、食べ方の違いも楽しみました。
昨年の忘年山行で訪れた同じくジオパークの「橋杭岩」へ。その時のジオガイドさんにお薦めの「うすかわ饅頭 儀平」へ寄って「かりんと饅頭」を買いたいとのリクエストがありました。移動の途中ポイントだったのでドライバーさんが寄ってくれました。初めて橋杭岩へ行かれたお客様もいらしたので、喜んでいただけました。
田辺市へ移動。ひき岩群へ。紀伊田辺駅から20分足らずの低山ですが、初めて訪れた時は感動しました。砂岩の岩群は、ヒキガエルが群れをなして空を仰ぎ見る姿に見える事から、その名が付いたそうです。
ピクニック広場に着くと雨もほとんど止んで第1展望台へ。その後、岩屋観音へ移動。新三十三番霊場巡りができるコースをたどり、和歌山の海を眺めながら観音様を巡りました。
その後、ジオパークの救馬渓観音へ。ここは、先輩の花岡ガイドおすすめスポット。最後に南紀白浜空港近くのとれとれの湯で温泉に入りました。とれとれ市場でお土産を買い、早めの自由夕食を済ませ空港へ。空港に着くと、搭乗するフライトが天候の影響で着陸できない可能性があり、その場合は欠航とのことで様々な対応策を想定していましたが、幸い無事羽田へ戻ることができました。海と山と古道歩き、そして素敵な花に出会えた山旅でした。
【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人
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2023年4月1日(土)2泊3日 M2015 熊野古道 中辺路/史跡も豊富な代表コース
2023年4月16日(日)2泊3日 M2016 熊野古道 雲取越/熊野の難所、大雲取・小雲取へ