雪の小浅間山
軽アイゼン体験


1振り向けば絶景
振り向けば絶景

短い行程ですが、雄大な浅間山を眺める事ができる小浅間山。週間天気予報が発表されると前日は雪。
ツアー当日も曇りマークの横に傘マークが…前日の朝には早くも八王子駅では雪が積もり始め、ニュースキャスターが不要不急の外出を控えるように呼びかけています。
雪の少ない状態が続いていたので前日の雪は歓迎と思っていましたが、中央自動車道が通行止めになりだんだんと心配に。スタート地点の峰の茶屋にはライブカメラが設置されているので何度も確認。ワカンを装備に加えてパッキング。でも、天気予報は雨マークどころか、曇りマークもなくなり晴れの予報に変わりました。山より心配な高速道路。無事たどり着けることを願うのみ。

2023年2月11日(土)
まだ暗い中、家を出ると星空。
新宿駅では八ヶ岳に向かう別の雪山ツアーがありましたが、中央自動車道が通行止めで関越自動車道経由に変更したとの事。そのような行き先変更や建国記念日の土曜日・チェーン規制・そして故障車と様々な要因が重なり渋滞に巻き込まれてしまいました。それでも今回は行程が短いので予定通りツアーを行うことができました。
峰の茶屋(冬季休業中)前の駐車場もトイレの周りにも多くの乗用車が停まっていました。早くも下山された方に伺うと、西峰に向かうルートは雪が深すぎて断念との情報。昼食を済ませ、最初はアイゼンを付けずに快晴の中出発。今回は上野が先頭を務めます。添乗員の伊藤さんもワカンを持参。

2ツルウメモドキ2
ツルウメモドキ

溶岩円頂丘(ようがんえんちょうきゅう)の小浅間山は、浅間山の南斜面にできた寄生火山(側火山ともいう。浅間山の寄生火山は他に離山・石尊山がある)です。その姿、形から小浅間と呼ばれるようになったそうです。溶岩円頂丘(または溶岩ドーム)とは、火山から粘度の高い水飴状の溶岩が押し出されてできた、ほぼドーム状のこんもり盛り上がった地形。他には榛名富士・昭和新山などが有名ですね。
最初は、シラカンバとダケカンバが混在する森の中を緩やかに登ります。馬返し手前までは樹林帯の為、風の影響は少なく歩くことができます。予報では、午前中の1500m付近は風速15m位の風ですが、午後には風は収まるとの事。渋滞が功を奏して風も収まり穏やか。火山が噴火して溶岩が流れ、冷えて固まった裸地にコケや地衣類が生え、植物が生える環境が進んでいきます。
そしてダケカンバやシラカンバのように、明るい光を好む「陽樹」の森になっていきます。昔々に勉強した「植生の遷移」その様子がわかる森です。途中、冬枯れの森にツルウメモドキの黄色が華やかに彩りを添えます。
雪の下を見ると雪が溶けた後、凍ってツルツル。その上に雪が積もって滑ることなく歩けました。馬返しでアイゼンを装着。
「アイゼンは、素手で付けずに必ず薄い手袋を付けて装着できるようにしてください」と言いつつ、素手で歩いていても冷たくない、そんな陽気でした。
ここから先は風で雪が飛ばされ、地面が出ていることも多いのですがこの日は一部のみ。概ね雪の上を歩きながら山頂を目指しました。振り向くと浅間山の雄姿が!
峰の茶屋からの標高差250m、1時間ほどで東峰(1655.2m)に到着。少し下がった所に三等三角点。

3浅間山の展望台2
浅間山の展望台
4雪に埋もれそうな三角点
雪に埋もれそうな三角点

軽井沢の町や鼻曲山の方は少し雲が出てきましたが、仙ノ倉・平標など谷川方面はばっちり。ここから樹林帯を抜け西峰へ。ここからラッセルのつもりでしたが、トレースが付いていました。
山頂付近のミヤマハンノキは根に根粒菌が共生し、空気中から窒素を取り込み植物体に供給するので、養分の乏しい土壌でも生育できるそうです。秋になって落葉する葉には窒素が大量に含まれているので、周りの土壌は肥えていき土壌の栄養条件が整うと、ダケカンバやカラマツ、シラビソ、コメツガなどの高木にその場を奪われていくとの事。スタート地点の森も、ヤシャブシ・ハンノキ類の樹木から変わってきたのですね。

5ミヤマハンノキ
ミヤマハンノキの果穂
6西峰
西峰
7四阿山
四阿山

西峰までは、トレースを外すと膝上位まで潜りますがツボ足で進めました。
西峰に着くと四阿山や苗場山方面の視界が開けます。ここからの下りが少し急なので注意して分岐に戻ります。帰りは馬返しへ戻らず、少し左の斜面を下山しました。
その後は碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」の天然温泉で入浴。露天風呂や駐車場からも裏妙義の山々を眺める事ができます。

8峠の湯2
峠の湯
9裏妙義
裏妙義

渋滞でもっと時間が遅くなったら温泉はカットだったかもしれませんが、予定通りの行程でツアーを終える事ができました。真っ白な浅間山の展望を楽しんだ山旅でした。

【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人
写真提供:佐藤様

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2023年3月18日(土)M2756 雪の磐梯山 鋭鋒からの展望を目指して