金剛堂山と人形山
北陸の名峰へ

1ササユリ咲く登山道
ササユリ咲く登山道

2023年6月25日(日)1日目
富山駅集合。長くかかった駅周辺工事が完了し、バスの駐車場が変更になったとの事で、少し早めの新幹線で富山駅に。今回は道が狭いので、マイクロバスでの移動となります。
出発前の予報は、晴れ・曇り・最終日は曇りのち雨。
「あー移動日は晴れなくてもいいのに…」テレビの天気予報を見ながら思わずつぶやく上野でした。
高速道路を走って行くと、山には雲がかかり、富山湾方面は青空。
「あれ、今日は晴れるはずでは…」2連泊でお世話になる五箇山温泉へ。
宿の目の前が国指定重要文化財の岩瀬家。入館料は400円ですが、現在も住まわれている五箇山最大の合掌造りは一見の価値ありです。囲炉裏端で「こうぼう茶(カワラケツメイ)」とドクダミなどの野草茶をブレンドしたお茶をいただきながら、説明をうかがいました。館内を見学した後、民謡「こきりこ節」を披露していただきました。歌と踊り、そして「板ささら」と「棒ささら」の演奏、見学されたお客様はみなさん「行って良かったよー」と。
すぐ近くにある、行徳寺山門と合掌造りの庫裡は、南砺市指定文化財。見ごたえのある建物です。

2昔は、養蚕の作業場
岩瀬家 昔は養蚕の作業場
3行徳寺山門
行徳寺山門

2023年6月26日(月)2日目
4時45分から、暖かい朝食を食べさせていただけることに感謝。ガイドさんと合流し、お弁当を持って出発。人形の雪形が現れることからその名が付いた「人形山」登山道は整備されていますが、登山口までの林道が荒れていて、タクシー会社もパンクしないか心配との悪路。一部舗装はされていますが、猪の掘り返しなどもあり、ご苦労をおかけしました。天気は予報が外れ、青空!

4人形山登山口
人形山登山口

駐車場には1台の乗用車。登山口にはササユリ。樹林帯で、風もなく暑かったですが、思ったよりはブヨも少なめ。上に行くとトンボも飛び始めています。

5コアジサイ
コアジサイ
6オトシブミ
オトシブミ

山で時々見かけるオトシブミ、器用に葉を切り、くるくる巻く器用な虫を見たのは初めて。花はもちろん、虫や鳥にも詳しいガイドさんです。
7マルバフユイチゴ
マルバフユイチゴ
8漫画の目玉おやじにそっくりなギンリョウソウ
漫画の目玉おやじにそっくりなギンリョウソウ
9ブナの森を登る
ブナの森を登る
10ユキザサ
ユキザサ

第1休憩所・第2休憩所を経由し、宮屋敷跡に到着。鳥居の向こうには劔岳。反対から見ると人形山山頂。途中、なぜこんなに曲がってしまったのかと思う不思議な幹。雪の多さを物語っています。

11豪雪に耐えて
豪雪に耐えて
12鳥居の奥に剱岳
鳥居の奥に劔岳
13鳥居の反対には、人形山
鳥居の反対側には人形山

山頂で昼食を取りながら、白山・大笠山方面の展望を楽しみました。往路を戻ります。

14人形山頂上
人形山頂上
15ハクサンシャクナゲ
ハクサンシャクナゲ
16ベニサラサドウダン
ベニサラサドウダン
17登山道を彩るニッコウキスゲ
登山道を彩るニッコウキスゲ

宿に戻る前に白山宮に立ち寄りました。白山宮は富山県内最古の木造建造物で、奈良時代始め、泰澄大師が人形山を開き山頂に建立したものを天治2年(1125)平村山梨集落の中心部に移築、文亀2年(1502)に再建したとの事。本殿内には白山権現菊理媛命(はくさんごんげんきくりひめのみこと)が祀られており、33年ごとに開帳されます。茅葺の本殿と手前の丸い石垣もめずらしいですね。

18白山宮
白山宮

2023年6月27日(月)3日目
夜半に土砂降りの雨。出発時には止みました。今日はマイクロバスで、栃谷登山口へ。トイレを済ませスタート。沢を渡ると急登が続きますが、気持ちの良いブナの森です。お花もたくさん。

19ウリノキ
ウリノキ
20オオコメツツジ
オオコメツツジ
21ゴゼンタチバナの群落
ゴゼンタチバナの群落

ここが山頂?というような片折岳を過ぎ、日差しを避けて休憩しながら進みます。金剛堂山の山頂に到着。山頂には大きな山名盤がありますが、残念ながらガスが上がってきてしまいました。ザックをデポして、中金剛を目指します。少し下ると湿原植物を見る事ができました。

23イワイチョウ
イワイチョウ
24トキソウ
トキソウ
25中金剛
金剛堂山 中金剛

山頂に戻り、下山開始。途中登山道がえぐれて段差が大きい箇所があり、テープシュリンゲをセットして下りました。登山口で靴を洗って、温泉へ。ここでガイドさんとはお別れ。温泉で汗を流し、さっぱりして富山駅へ。富山駅は思いのほか蒸し暑い。昔から信仰の山として登られてきた日本二百名山の金剛堂山と日本三百名山の人形山。急登続きで登りごたえのある2山でしたが、人形山は展望を楽しみ、ブナの森と花を愛でながら登った山旅でした。

【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1