御神楽岳と粟ヶ岳
鋭鋒・御神楽岳とヒメサユリの粟ヶ岳

1ヒメサユリ
ヒメサユリ
2023年6月11日(日)1日目
今回のツアーは、日本三百名山を目指して、徳島・岡山・兵庫・大阪・和歌山など遠方から多くのお客様にお申し込みをいただきました。ガイドの石尾さんと上野・関根でご案内。
「ヒメサユリ」の花の季節と梅雨は重なることが多く、今回も週間予報が発表されると、台風2号の進路によっては心配な空模様。しかし、心配だったお天気も良い予報へと変わってきました。バスは一路、燕三条を目指して出発。バスのタイヤが親指大の金属片でパンクするトラブルで、予定より到着が遅れてしまいました。
しかし、今回から出発時間を早めて夕食の時間をゆっくり取れるように変更していたため、2019年に来た時よりは30分ほど早くホテルに到着できました。ドライバーさんが、パーキングエリアに着く度にきちんと点検していたため異常に気付きました。今夜はシングルルームのホテル泊りです。。

6月12日(月)2日目
ホテルを5時に出発。
昨日のお詫びと、バスの冷蔵庫には冷たいお茶を用意してくれていました(ドライバーさんに落ち度はないのですが…)
粟ヶ岳は、新潟県中央部の三条市と加茂市の境に位置する標高1292mの山。川内(かわち)山塊の最高峰。標高160mの加茂水源地からスタート。前日新宿でバスを待つ間、耐水性のある「ヤマビルファイター」を皆さんの靴の足首周りに塗布。トイレの周りにもヤマビル発見! との事で、さらに木酢液を噴霧。往復コースなので、見つけ次第アルコールで退治しながら進みました。
ヒルも尾根に上がるまでの少しの間です。この日は、東京より最高気温が高い新潟県。汗を拭く手ぬぐいが絞れるほどでした。まだ暑さに身体が慣れていないので、今回は、ヒルより暑さが堪えました。塩分と水分をこまめに取りながら進みます。
2ツルアリドウシ
ツルアリドウシ
歩き始めるとエゴノキやヤマボウシ。足元にはツルアリドウシ。急登が続きますが、たくさんの花々が次々と楽しませてくれます。

3ウゴツクバネウツギ(羽後衝羽根空木)
ウゴツクバネウツギ羽後衝羽根空木)
4ガクウラジロヨウラク
ガクウラジロヨウラク
5サラサドウダンツツジ
サラサドウダン
6シロバナニガナ
シロバナニガナ
7チゴユリ
チゴユリ
8ツマトリソウ
ツマトリソウ

ツマトリソウと聞くと「妻」を連想する方もおられますが、由来となったのは「端」の意味のツマです。花冠の先端が淡い赤で縁取られることからツマトリソウと名付けられました。
しかし、縁取られたツマトリソウは地域によっては少ないように思います。イワカガミもたくさん咲いていました。山頂へは、アップダウンを繰り返し、岩場・梯子・鎖も通過していきます。
9弥彦山と角田山。奥は佐渡
弥彦山と角田山。奥は佐渡ヶ島
6合目は展望が良く、弥彦山と角田山。そしてその奥には佐渡ヶ島。粟ヶ岳ヒュッテ(避難小屋)ではヒメサユリがお出迎え。
10ヒメサユリ咲く、粟ヶ岳ヒュッテ
ヒメサユリと粟ヶ岳ヒュッテ
11タニウツギ
タニウツギ
12粟ヶ岳山頂
粟ヶ岳山頂
山頂で昼食。曇天ながら、飯豊連峰や明日登る御神楽岳方面を見る事ができました。山頂には二等三角点があります。手前の北峰には図根三角点。往路を戻りますが、急登を登ってきたので、慎重に!

13オオバキスミレ
オオバキスミレ
14鎖場、慎重に下る
鎖場、慎重に下る
15スノキ
スノキ

16クルマバハグマ
クルバマハグマ
無事下山。バスに乗る前に、ヒルチェック。登山靴の溝に潜んでいる事もあるので入念に。対策の効果もあって、被害はゼロでした。
そして、蒸し暑い中頑張って歩いた身体に、ドライバーさんからの冷たいお茶のおいしい事!!
宿に着く前に飲み干してしまいました。今日のお宿は、自然豊かな森の中にある御神楽温泉。
温泉もツルツル。美味しいご飯をいただいて明日に備えます。

6月13日(火)3日目
夜半からの雨も止んだ朝方。バイクのセルを回すような音が連続して聞こえます。私の古いスクーターは近頃調子がいま一つ。そのような音。
その声の主は「ヨタカ」。宮沢賢治の絵本「よだかの星」は、断捨離できずに未だ我が家にありましたが、鳴き声を聞いたのは初めてです(認識していなかっただけですが)関根さんに教えて貰ったおかげです。
そして、美しい鳴き声も! ブナ林等の広葉樹林を好むという「アカショウビン」とガイドさん。
「あー鳥の声もわかるようになりたいなー」と思った朝でした。今日もお部屋で朝弁当を頂き、5時に出発。美しいブナの森を登って行きます。歩き始めるとすぐにオオバギボウシ。
17オオバギボウシ
オバギボウシ
18沢を渡る
沢を渡る
19静かな森を行く
静かな森を行く
20アズマシャクナゲ
アズマシャクナゲ
21タカトウダイ
タカトウダイ
朝方の雨で足元が滑りやすく、下りを考えるとちょっと憂鬱になるような滑りやすい斜面ですが、昨日の粟ヶ岳とは違う植生の森とお花も楽しめました。そして、今日はヒルの心配はありません。

23オオナルコユリ
オオナルコユリ
22ツルアジサイ
ツルアジサイ
イワガラミは、花のように見えるがく片(装飾花)は1枚なのに対して、ツルアジサイは3~4枚。
花にも詳しい関根さんに教えて貰いました。似たような花も、ポイントを押さえていれば同定もしやすいのですが、植物の世界は奥が深く難しい。でも、そこが楽しい所ですね。
24ハナヒリノキ
ハナヒリノキ
25ホウチャクソウ
ホウチャクソウ
26ニョイスミレ
ニョイスミレ
27ホウノキの花
ホウノキの花
登山道の脇に落ちている「ホウノキの花」は猿がいたずらして、落したものだそうです。

28ヒロハテンナンショウ
ヒロハテンナンショウ
29先端を雷にやられても、強く生きている
先端を雷にやられても、強く生きる
30山頂、残念ながらガスで視界無し
山頂、残念ながらガスで視界無し
山頂は、残念ながら展望は得られませんでしたが、ここで昼食。途中で雨がパラパラ。慌てて雨具の上着を着ましたが、下り始めるとすぐに止んでしまいました。普段使わないストックをザックから出して下りに備えましたが、最後尾はさらに滑りやすい。私の靴は何色?と思うくらい泥だらけ。
でも、最初に渡った沢で順番に洗って登山口へ。ガイドさんによれば、いつもこんなに滑りやすい訳ではないとの事。
今回は通常よりは難易度が高くなりました。それでも過去の記録より早く下山。強者ぞろいのまいたびのお客様でした。粟ヶ岳と御神楽山、2座とも累積標高差2500mを越え、なかなか登りごたえのある山でしたが、お花と豊かな森を楽しんだ山旅でした。

【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1