静かな登山がアドベンチャールートへ!?
埼玉&群馬百名山の「父不見山〜長久保ノ頭縦走」


ススキ越し両神山
ススキ越しの両神山

2023年12月2日
都心から電車とバスを乗り継ぐと4時間半かかるところがまいたびのツアーなら2時間半。12月初旬に雪の心配もせず埼玉&群馬百名山の山歩きを楽しめ、入浴付き。そんな素敵なツアーに添乗しました。

登山口のバス
登山口のバス「付近に駐車場のない登山口までバスが付けてくれます。ラクチン!」

そのツアーの名前は「父不見山~長久保ノ頭縦走」。え??「父不見?」なんて読むの?と思われますよね。
父=てて、不見=見ず(見えず)と読むのです。
秩父と上州(群馬)を結び、古くから人や物資を往来させていた歴史ある杉ノ峠を経て、この寂し気な名前を冠する1,047mの頂を目指します。

林道から登山道へ
林道から登山道を登る「登山口からは急登です。ゆっくり上ります」

最初からいきなり骨のある坂。じゃりじゃりと滑ります。石灰岩でしょうか。その後はヒノキやクリ、ホウノキなどの樹林帯を登ります。道は歩きやすく、ふかふかです。12月とは思えない柔らかな太陽の光が差し込み、静かで穏やかな山歩きが続きました。上州の山並みも幹の間から望めます。

上州の山並み
上州の山並み「群馬側を望みます。稜線がくっきり。」

誰にもすれ違わず、1時間半もたたないうちに山頂へ。
「ててみえず・ててみず」の由来を記した掲示板を眺めつつ、冬の訪れを感じつつ。
みなさん、それぞれお持ちになった温かいお茶やお昼ご飯をいただきます。

山頂
山頂「山の由来の掲示板の前に広がる山頂です。山頂も樹林帯の中です」
名前の由来
名前の由来「さあ、どちらを信じますか?歩いて感じてみてください。」

休憩の後は長久保ノ頭へ。ここまでも順調です。案内板もありますし道も整備されています。
栗のイガ、クルミの殻、木の幹の食べ跡などを見ながら、目の前には現れないクマやシカの姿も想像したりしました。

食害
食害「結構な傷跡。シカですね。」

ところが!そんな静かでショートコースのはずだった山歩きが、突然アドベンチャー感あふれるルートファインディングに変わったのです。
この父見不山、いまは林業が盛んで、西側斜面は伐採した木を運ぶキャタピラーが通過するルートが縦横無尽に作られ続け、この道を何度も歩いているガイドや添乗員も「あれ?去年の道と違う?道が途中でなくなる??」という状況。
アクセスの関係上、この山を登るほとんどの登山客は山の東側に当たる杉ノ峠から入ってピストンすると見られ、頂上から西側に降りるための登山道は、荒れかけて野性味あふれる道に変わっていたのです。

テープだらけ
テープだらけ「あちこちにピンクのリボンが。西側斜面は地図も当てにならずGPSで進みます」
山を登る
山を登る

いかに今まで手入れされた登山道や案内板にお世話になっていたかを痛感します。
お客様と一緒に、GPS片手にルートを確認し、トラバースして正しい道に戻るということにもなりました。あるはずの登山道が草に覆われているため林道を通ったり、安全重視で迂回したり。
いやはや、冷や汗の出るアドベンチャー登山になってしまいました。
そんなこんなで遠回りをしたため、当初より1時間ほど余分に時間がかかってしまいましたが、皆さん一丸となって歩ききってくださいました。
「印象的な山になったわ」「これで山の名前も忘れないわよ」などの励ましの声も頂き、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

最後の紅葉
紅葉「下山口の森戸集落で見た紅葉。今年の山で見る紅葉はこれが見納めでしょう」

その後は温かな入浴が楽しめる吉田元気村へ。冷えた体を温めて名産の野菜などの買い物を楽しみつつ、19時ごろ東京に戻りました。

最後まで自分たち以外誰にも会わなかった不思議な山。名前の由来になった父親も、この山の深さゆえ、子供のもとに帰りたかったけれどたどり着けなかったのかもしれないなと思いました。